動物農場 (ジョージ・オーウェル/角川書店)

書籍動物農場(ジョージ・オーウェル/角川書店)」の表紙画像

購入価格:349

評価:

この記事は約2分11秒で読めます

何年か前、なにかの本であらすじが紹介されていて、読みたいと思っていたのをやっと読んだ。

まず、おもしろい。解説を寄せている開高健が言っているが「読む人がこの主題にどれだけ関心、情熱、経験、学識、覚悟が、あるか、ないか。そのこと次第でどうにでも浅くなったり深くなったりする、容易ならざるおとぎ話である」と言っているが、まさにそのとおりの内容である。

イソップ童話によくあるような、擬人化された動物が主人公である。日々こき使われ人間に搾取されている豚や鶏、山羊や馬が、ある日反乱を起こし、動物にとっての楽園を作ろうとする。

反乱は成功し、人間たちは追い出され、動物たちは楽しく暮らし始めるのだが、いつしか豚が指導者のような立場になり、それがどんどん加速していく。人間のものは使ってはいけない、酒は飲んではいけないと言っていたのに、あれこれと理由をつけて、豚は人間が残していったベッドで眠り酒を飲むようになる。

結局最終的には、豚はおぼつかないながら二本足で歩くようになり、かつてあれほど忌み嫌っていた人間そっくりになって、他の動物を支配するようになってしまう。

敵を打ち倒し楽園を手に入れるという理想を求めて出発したのに、いつのまにか敵そっくりに成り果ててしまう。

強烈な皮肉を感じる。

が、やはりぼくの人格が未熟なせいだろう、開高健の言うように、この話の深さがいまいち理解できないでいる。

すごい話である予感だけは確かにあるのだが、なにがどうすごいのかを、うまく語れない。

というか、この作家についての解説を読んでいると、どうも自分と非常に似ているように思う。

「24金の率直」という解説のタイトルからして、ぼくのことを表しているようなのだが、このような記述がある。

「〜感じたまま、見たままを、類のない率直さで描いたのである。〜中略〜"感じたまま、見たまま"と題されたルポや紀行文や印象記の作者がいかに隠蔽して書いているらしいか、また事実そうであることを作者本人の口からそっと聞かされることがいかに多いか、また私自身の内部にもその衝動の濃淡の差こそあれ感ずることがいかに多いか。」

すごいわかる。隠蔽したい気持ち。やっぱり人間なので、自分をよく見せようと書いてしまう気持ちってのは、ぼくにもある。しかし、ぼくはそれをできる限り隠さずに書こうとはしてる。たぶん、人から見てぼくのブログがおもしろいとしたら、それはただ一重にこの作家オーウェルにあるような率直さ、正直さ、等身大さ故であろうと思う。

たぶん、人はぼくほど臆面もなく内面をさらけ出せないのだ。だから、きっとそれはぼくの強みであるだろう、という確信犯的な気持ちもあったりして。

まあ、ぼくの場合は率直というより「24金の無神経」といったところなんだけれども。

ご支援のお願い

もし当ブログになんらかの価値を感じていただけましたら、以下のいずれかの方法でご支援いただけますと幸いです。

Amazonギフト券で支援する
→送信先 info@tomonishintaku.com

Amazonほしい物リストで支援する

PayPalで支援する(手数料の関係で300円~)

     

ブログ一覧

  • ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」

    2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。

  • 英語日記ブログ「Really Diary」

    2019年より開始。もともと英語の勉強のために始めたが、今ではすっかり純粋な日記。呆れるほど普通の内容なので、新宅に興味がない人は読んで一切おもしろくない。

  • 音声ブログ「まだ、死んでない。」

    2020年より開始。ロスのホームレスとのアートプロジェクトでYouTubeに動画をアップしたところ、知人にトークが面白いと言われたことをきっかけにスタート。その後、死ぬまで毎日更新することとし、コンテンツ自体を現代アートとして継続中。

  • 読書記録

    2011年より開始。過去十年以上、幅広いジャンルの書籍を年間100冊以上読んでおり、読書家であることをアピールするために記録している。各記事は、自分のための備忘録程度の薄い内容。WEB関連の読書は合同会社シンタクのブログで記録中。

  関連記事

反転する福祉国家――オランダモデルの光と影

これからの時代の福祉や移民のあり方を探るのに、オランダほど参考になる国はないと考 ...

一流は、なぜシンプルな英単語で話すのか

すぐに使える実践的な表現満載でよかった。が、この手の本ばかり読んでいても仕方がな ...

すばやく引ける!じょうずに撮れる!デジカメ撮り方便利帳

とりあえず、誤植多すぎ。商品として失格。校正したのは小学生ですか、というような。 ...

脱学校の社会

あー、なんとか読んだ。