進化しすぎた脳 中高生と語る「大脳生理学」の最前線 (池谷裕二/朝日出版社)

購入価格:268円
評価:
この記事は約2分42秒で読めます
たまに「日本で絶望して自殺するくらいならインドでも行ったほうがいい」なんて乱暴な話を聞くが、本書を読むと、それは確かにその通りかもしれないと思う。
絶望するというのは、つまるところ究極的に視野を狭くして、針の先のような一点を世界のすべてだと思いこむことなのだ。
そうであればこそ、いっそ死んでもいいやというヤケクソでもなんでも外に出てみれば、是が非でも世界観が変わり人生が変わる。そしてもう二度と、その針先の矮小な一点を世界のすべてなどとは間違っても思えなくなる。
そして、そのように自己の世界観が変容した時、絶望が、自殺という行為がいかに難しいことであるかを痛感するのである。
「最近はあまり獲物が捕れなくなってしまったんです。ここ3年ほど、クジラの捕獲量も減っています」 5年前は1年間で49頭のマッコウクジラが捕れたけれど、昨年は23頭だったといいます。 (中略) 「しかし、その理由は私たちには分かりません」 (中略) ラマレラの村人たちがその状況に対して取れる術はほとんど何もありません。あるとすれば、この島に根付くキリストへ、日々、祈りを捧げることぐらいです。
エマーム・レザー廟の中では、女性は必ずチャドルを着なければなりません。そのためにぼくらも、事前に町の布屋さんにモトコのチャドルを買いにいきました。すると店の中にいた数人のチャドル姿の女性たちが、ぼくらを興味深そうに眺め、モトコがチャドルを選んでいると、その着方を親切に手ほどきしてくれます。そしてこのとき、そのうちのひとりがとったちょっとした行動がぼくの心にいつまでも残ることになりました。彼女は、「ほら、こうやって着るのよ」と、笑顔で自分のチャドルを開いて見せてくれたのです。厳しく身体を隠すイランの女性のチャドルの内部を見ることなど、考えてもいなかったため、ぼくは、はっとしてしまいました。そしてその中に彼女が着ていたのが、シーンズとセーターといった全く普通"の洋服だったことにもまた驚かされました。
最近の日本は、「人を見たら泥棒と思え」的な、互いに警戒し合う社会になっている気がするけれど、こうしてお互いに扉を開き合ってみると、世の中圧倒的にいい人が多いことを実感 できます。
- 前の記事
- 不幸論
- 次の記事
- 食品の裏側 みんな大好きな添加物
出版社・編集者の皆様へ──商業出版のパートナーを探しています
*本ブログの連載記事「アメリカでホームレスとアートかハンバーガー」は、商業出版を前提に書き下ろしたものです。現在、出版してくださる出版社様を募集しております。ご興味をお持ちの方は、info@tomonishintaku.com までお気軽にご連絡ください。ブログ一覧
-
ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」
2007年より開始。実体験に基づくノンフィクション的なエッセイを執筆。不定期更新。
-
英語日記ブログ「Really Diary」
2019年より開始。英語の純粋な日記。呆れるほど普通なので、新宅に興味がない人は読む必要なし。
-
音声ブログ「まだ、死んでない。」
2020年より開始。日々の出来事や、思ったこと感じたことを台本・編集なしで吐露。毎日更新。
関連記事
安全と安心の科学
2014/06/11 book-review book, migrated-from-shintaku.co
まあ、まあ、おもしろかった。【安全が達成された瞬間から、安全の崩壊が始まる】なん ...
ネイティブスピーカーの単語力〈1〉基本動詞 (Native speaker series)
2017/10/14 book-review book, english, migrated-from-shintaku.co
倦まずたゆまず毎日英語勉強中。
銃・病原菌・鉄(上)1万3000年にわたる人類史の謎
2020/05/20 book-review book, migrated-from-shintaku.co
この本のエッセンスは『ヨーロッパ人が持ち込んだ病原菌の犠牲になったアメリカ先住民 ...