新宅睦仁 個展「COLOUR ME WELL」One East Asia Gallery (シンガポール) 2018/8/1〜8/21
2018/07/23
このたび、シンガポールにて個展を開催する運びとなりましたので、以下の通りご案内させていただきます。
- 展覧会名:COLOUR ME WELL
- 会期:2018年8月1日(水)〜8月21日(火)[日・祝休み]
- 時間:12:00〜19:00 (土曜は12:00〜16:00)
- 観覧料:無料
- 会場:One East Asia Gallery(15 Scotts Road #09-03 Thong Teck Building Singapore 228218)http://www.oneeastasia.org
*展示概要、オープニングレセプション及びアーティストトークの日程はこちらをご確認ください。
本展示では以下の3シリーズから、それぞれ未発表の新作を6点ずつ、計18点を展示予定です。
みんなで食べよう シリーズ
https://tomonishintaku.com/works/lets-eat-everyone.html
謎肉 シリーズ
https://tomonishintaku.com/works/mystery-meat.html
Paste Abstraction シリーズ
https://tomonishintaku.com/works/paste-abstraction.html
蛇足ではありますが、このギャラリーは、2015年には美術家のミヤケマイさんがグループ展に参加していたり、LARASATI Auctioneersというインドネシアをベースとするオークションハウスを運営していたりと、資金力もありシンガポールでは有力なギャラリーのひとつだということを付記しておきます。
***
と、真面目な告知はさておき、この先は今回の展示に至るまでの紆余曲折を書きたい。
まず、一部の方はご記憶にあるかと思うが、本当であれば今年の4月にシンガポールのとあるカフェギャラリーにおいて、「みんなで食べよう」シリーズで個展予定であった。あれはどうなった? と思われている方もいらっしゃったことと思う。確かに、私とてそのために着々と準備を進めていたのである。
しかし、今年に入って展覧会DMの内容のやりとりをしているあたりから、どうも雲行きが怪しくなってきた。何日も返信がなく、やっと返ってきたと思えば、いま、店舗の運営上大きな問題が起こっていて、ゴーサインを出せないという。
どうすることもできない私は、「I hope you will go well」なんて気休めのメールを何度送ったか知れない。そして挙げ句の果ては展示中止であった。店のオーナーが交代し、今後はアート作品の展示はせず、バンドのライブなどイベントのみで運営していくことになったのだという。
もちろんそのスペースは、現代アート界において大した場所ではないし、影響力のある人物が手がけているわけでもない。しかしそれでも、私にとっては初の「海外における」個展である。それは私にとって、決して小さくないことだった。むしろとてつもなく大きなことで、故にその落胆は絶望的に深かった。それからしばらくの口癖は「外人◯ね」であったのはここだけの話である。
以来、毎晩酒を飲んでぶらぶらする日々が続いた。そんな折、件のギャラリーの展示のオープニングがあることを知った。このギャラリーは昨年の暮れにプレゼンに行き、私について絶賛に近いコメントをいただいた所でもある。にも関わらずその後、具体的な動きはないままであった。それで荒んでいる私は、「結局、外人って生き物は口だけなんだよな」というのが偽らざる本音であった。
オープニングに顔を出すと、ディレクターの女性は久しぶりに会った私にテンション高く近況を聞いてきた。私が例のことの顛末を話すと、いたく同情してくれて、それから、作品ができてるならここでやればいいじゃない? と、こともなげに言った。
嘘こけこの外人めと、私は思った。どうして、彼女は私の作品を認めてくれてはいるらしいが、しかし自分のギャラリーで展示をさせるほどのレベルではないのだと思っていたからだ。
後日、ギャラリーのアシスタントを通じて展示の概要を送ると、とんとん拍子に話は進んだ。当初は「みんなで食べよう」シリーズのみで構成する予定だったが、話し合いを重ねる中で複数シリーズを展示する方向になった。
「COLOUR ME WELL」というタイトルは、私が洒落っ気を出したわけではなく先方の提案で、「We feel the theme is not just on food but also the implication of “giving out the right portion” – a balanced colour-field and also the meaning of “look after me well”.」ということから命名していただいたものである。
が、正直、いまいちよく意味がわかっていない。どなたか英語に自信のある向きは、ぜひコメント欄にてご教示いただきたいところである。それはともかく、私のために場所を提供してくれた上に、個展名まで考えていただいた、そのことが、私にとっては何よりもうれしい。いや、うれしいなんて言葉ではとても足りない。
だって、考えてもみてほしい。私は彼らにとって、どこの馬の骨とも知れない外人だ。義理もなければ縁もない。そんな奴がある日断りもなく突然メールを送りつけてきて、作品を見てくれという。会ってやったら会ってやったで、カタコトの怪しい英語で理解も信用もできたものではなく、せいぜい伝わってくるのは一生懸命らしいということくらいであろう。
そんな人間に、シンガポールの都心にある一等地のギャラリーを提供する。運営する側になってみれば、これはまったくとんでもない冒険だと思うのは私だけだろうか。
無駄に話が長くなってしまった。とにかくは、私にとってはこの展示は、アーティストとしてひとつのマイルストーンになるだろういうことだ。神様に与えられたこの機会に全力で報いたい。アーメン。
広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。
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