環境保護運動はどこが間違っているのか (槌田敦/宝島社)

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筆者があとがきにも書いているが、とにかくはうんざりする本である。

牛乳パック、古紙の回収などのリサイクルは意味がない、むしろ害でさえある。原発は完全に意味がない。原発を作る石油をそのまま燃やして燃料にしたほうがよほど効率的である。太陽光発電についてもしかり。あんなものはエコでもなんでもなく、資源の無駄遣いに他ならない。

この世で現在のところ最大の効率を生み出すものは石油以外にはありえない。もしくは気体の石油ともいえる天然ガス。

リサイクルというのは、基本的には不可能なのだ。

自分たちが普段、ああ地球にやさしいね、エコだね、なんてふんわり思ってた事柄が、ことごとく破壊される、破壊された。しかも読んでいると、確かになあ、そりゃあそうだ。まったくその通り。参りました。もうリサイクルなんてこざかしいマネはやめます、という気持ちになってくる、いや、いま現在もそうなったまま。

例によって興味深かった箇所のご紹介。

紙のリサイクルがエコなわけがない。原料パルプから作るよりも、牛乳パックならばコーティングフィルムをはがす、古紙ならばインクを漂白するなど、大量の化学薬品を使用しなければならない。一度、東海道新幹線のこだま号に乗った時に新富士駅で途中下車してみてください。街中にすごい臭いが立ち込めています。これは「地球にやさしい」なんてものじゃないなとすぐわかります。

原油を材料とする主製品は、最初は灯油でした。ところが原油から灯油を取り出すと、その後にさまざまな廃物ができる。その中でも重油はただベタベタしているだけだけれども、ガソリンが一番始末が悪かった。ちょっとしたことで燃え出したり爆発したりするから、捨て場所にも困っていた。そこへ内燃機関が発明されて、このどうしようもない廃物=ガソリンが再利用できるようになった。こういうことをリサイクルというのである。

自然食や有機農法などにこだわる人がいるが、絶対に安全な食品などそもそもない。また、現代では、素人が判断してこれは安全これは危険といえるようなわかりやすい食品の流通の仕方ではなくなっている。たとえばある食品に毒が入っているとする。それだけを食べていたら100%毒にやられてしまうが、いろんなものを食べていれば、その毒は摂取する食物の総量の数パーセントにしかならない。だから、インスタント食品でも加工品でも、とにかくはなんでもまんべんなく食べ、毒を薄めるということが最良の方法である。

この最後の考え方については、似たようなことを昔から父が言っていて、やはり父は正しかったと思った。高校生のころかいつだったか、わらびやぜんまいなどの山菜には発がん性物質が含まれているということを本で読んでそれを話したことがあるのだが、そもそもすべての食べ物が悪い可能性もあるんじゃけえ、食べれるもんはなんでも食べりゃあええんよ、であった。

内容に戻るが、水俣病については特にそれが顕著に出た例だという。水俣病が発生したころは、日本中が公害をまき散らしていた。東京でも、東京湾で取った魚を猫が食べて狂い死ぬことがあったそうなのだが、東京では水俣病は発生しなかった。それは水俣市では魚を主食としていたが、東京では魚を主食とはしていなかったからなのである。

昨日学校でも習ったが、閾値の問題なのだろう。ある一定量は食べても問題ないが、それ以上になると発症する、という。

ぼくはそもそも食品の産地や製法云々などはどうでもいいと考えるタイプだが、やはりこれからもそうしようと、あらためて思った。

そんなことを気にするヒマがあったら、他にもっと気にすべき、注意すべきことがあるだろうと思う。

     

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