サービスの達人たち (野地 秩嘉/新潮社)
購入価格: 家にあった(0円)
評価:
この記事は約1分27秒で読めます
達人という言葉にはどこか職人的なイメージがある。しかし「サービス」という無形のものを提供する達人となると、その人の生きざまのようなものがより強く立ち上がってくる。
これから先、いよいよモノが売れなくなると同時に、ますますサービスが重視されることを考えると、新しい偉人伝の形とも受け取れそうだ。
これはサービス業のプロたちの話です。でも、全体を通してみると、ここに書かれているのは都市なんです。モノ作りの職人さんたちは山奥でもひとりで仕事をすることができます。けれど、こうしたサービス業の人たちって人が大勢集まる都市空間でないと存在できないでしょう。サービス業のプロを描くということは都市を描く、都市に住む人たちのセンスを表現することだと思いました。
昭和の終わりから平成にかけてのバブル経済は都会の銭湯を淘汰した。銭湯を地上げすれば、まわりの商店や内風呂のない老朽アパートも一挙に落とせると考えた地上げ屋たちは都心の風呂屋を重点攻撃目標にし、札束で顔をひっぱたいて歩いた。
昭和41年の6月末、日本興行史上に残る大きなコンサートが日本武道館で開かれた。協同企画(当時、現キョードー東京)の代表、永島達司がリバプールからビートルズを呼んできたのだ。タレントが日本武道館をコンサート会場とするのも初めてなら、チケット販売を抽選にしたのも日本初。「一タレントの警備を公共機関である警察がやるとは何事か」と国会で論議が交わされたのも初めてなら、首都高速を封鎖して芸能人を送迎したのも空前絶後のことだった。
「電報」と言って玄関を開けさせ、突然、強盗に変身するという、通称「電報強盗」が出現。配達員たちは自分たちには何の罪もなくとも、意気消沈してしまった。督促のための電報は昭和58年、消費者金融を規制する法律が施行されてからぐっと減ってしまった。
- 前の記事
- クルマが鉄道を滅ぼした―ビッグスリーの犯罪
- 次の記事
- 中国語のすすめ
ご支援のお願い
もし当ブログになんらかの価値を感じていただけましたら、以下のいずれかの方法でご支援いただけますと幸いです。
Amazonギフト券で支援する
→送信先 info@tomonishintaku.com
ブログ一覧
-
ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」
2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。
-
英語日記ブログ「Really Diary」
2019年より開始。もともと英語の勉強のために始めたが、今ではすっかり純粋な日記。呆れるほど普通の内容なので、新宅に興味がない人は読んで一切おもしろくない。
-
音声ブログ「まだ、死んでない。」
2020年より開始。ロスのホームレスとのアートプロジェクトでYouTubeに動画をアップしたところ、知人にトークが面白いと言われたことをきっかけにスタート。その後、死ぬまで毎日更新することとし、コンテンツ自体を現代アートとして継続中。
-
読書記録
2011年より開始。過去十年以上、幅広いジャンルの書籍を年間100冊以上読んでおり、読書家であることをアピールするために記録している。各記事は、自分のための備忘録程度の薄い内容。WEB関連の読書は合同会社シンタクのブログで記録中。
関連記事
暮らしの中の民俗学<1>一日
2013/04/14 book-review migrated-from-shintaku.co
メキシコとアメリカの国境は世界でもっとも賃金差があるといわれる。 その事実にまつ ...
オウム真理教の精神史―ロマン主義・全体主義・原理主義
2016/09/10 book-review book, migrated-from-shintaku.co
ええ本やった。先月の読書会の課題本。興味深い考察が目白押し。私もあなたも、誰でも ...
ヒトラー演説 - 熱狂の真実
2014/11/28 book-review book, migrated-from-shintaku.co
読書会の課題本。なかなか興味深かったが、まとめが恐ろしく月並みで腰が抜けた。そも ...
パチンコと日本人
2021/04/15 book-review book, migrated-from-shintaku.co
随所に狂気を感じる。著者はパチンコ狂いで、それを研究と称して通いつめているように ...
キリストとイエス―聖書をどう読むか
2018/03/26 book-review book, migrated-from-shintaku.co, religion
新しさを感じる指摘が多々あった。が、新書らしからぬ難解さで、再読の必要を感じる。