幻の声 NHK広島8月6日 (白井久夫/岩波書店)

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またしてもヒロシマ、原爆ピカドン関連の本。

しかし、原爆に関する本を読めば読むほど、さまざまな角度から原爆が照らされ、ヒロシマの真実らしきものが自分のなかですこしずつ浮かび上がってくるような気がする。

なんにしろ、やはりヒロシマは原爆抜きには語れない街だと思う。

それはともかく、ひとつ、それはそうだよなと納得したことがある。爆心から離れるにつれ、ピカとドンが時間をおいて襲ったということ。そう、音は光にくらべてあまりにも遅い。

爆心地でさえ、地上600メートルで炸裂した原爆は、その爆発音が地上に届くまで2秒近くかかるのだ。

祖父か祖母が、岩国でも原爆の音が聞こえたと言っていたが、広島県広島市から山口県岩国市まで30キロ程度はあるので、聞いたとしても、それはじつに88秒後である。

そのころ、すでに広島は完全に破壊されていたのである。

その時間差、地上がとてつもない光に照らされ、爆音、爆風が届くまでのその2秒間。想像しても、安っぽいSF的な映像しか浮かばないが、悪魔、それもノストラダムスなんかが言っていたような悪の大王というような存在は、決して暗くも黒くもなく、一見目が眩むほどに神々しい神様にしか見えないものなのではないか、なんてことを、ぼんやりと思う。

以下、本文より部分的に紹介。

(原爆投下直後のエノラ・ゲイ機内の会話)

「おいみんな、歴史上初めての原爆をいま落としたんだぜ」(インター・コムからの機長の声)

「こりゃ驚きだ。みんながオレたちのやっていることを知っていたら、見物の切符を十万ドルで売れたろう」(原爆係ジェプソン中尉)

「くそったれ、人でなしのやったあのザマを見ろ」(副操縦士ルイス大尉)

「畜生、オレたちはなにをやっちまったんだ」(ルイスの航空日誌の記載)

八月六日、予定よりすこし遅れて(と言ってもわずか一七秒だが)、八時一五分一七秒、原爆投下。四三秒後、地上六〇〇メートルで爆発。つまり、爆発は八時一六分なのであった。

     

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