明治・大正人の朝から晩まで (素朴な疑問探求会/河出書房新社)

書籍明治・大正人の朝から晩まで(素朴な疑問探求会/河出書房新社)」の表紙画像

購入価格: 家にあった(0円)

評価:

この記事は約2分4秒で読めます

肩肘はらずに読める本である。この手の本を、私はかつて「ごはん本」と呼んでいた。

むろん、私が勝手にそう呼んでいただけで、出典もくそもない。その意味するところは、ごはんを食べながら楽しく読める本ということである。

隠された貴賤と地位・上下関係

いまでこそ、家族が同じ食卓を囲むことは当然とされている。しかし、現代における常識は、案外に新しい慣習であることが少なくない。

江戸時代までは、たとえ親子や兄弟のなかにも厳然とした身分的秩序があったため、同じテーブルを囲むなどということはありえなかった。

そう考えると、ひとつの食卓でメシを食うことは、平等であることの証だと言っても過言ではない。

溶けるように消えて無くなる「昔」

自動車やインターネットに代表されるように、新しいものの登場、イノベーションは、いつの時代も古いものの駆逐をともなう

明治時代になると、男性が使う避妊具が外国から伝えられた。いわゆるコンドームで、サメの腸で作られ、「魚のう」とよばれていた。現在のゴム製品を、サメの腸で代用したものだった。

ものの本によれば、昔は避妊方法として、膣にちり紙を丸めて詰めていたという。

非科学的もいいところだが、しかし現代の科学とて、100年も経てば虚妄の烙印を押されかねないことだけは肝に銘じておくべきだろう。

確かなものは何もない

現代はVUCA(ブーカ)の時代である。

これは、Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)の頭文字をつなげたものである。

とにかく先が読めず、何が起こるかわからない。

暮れ六つから明け六つまでをそれぞれ6等分する12時制をとっていた。この時刻が突然、24時間制に変わった (中略) 改暦に先立ち、1871年(明治4)に午砲(ごほう)の制が定められた。全国各地に午砲台が設置され、昼の12時になると「午砲」を打って正午を知らせるようにしたのである。この空砲は「ドン」とよばれて親しまれた。

このくだりに、私の父親世代(いわゆる団塊の世代)は土曜半休を半ドンと言っていたのを思い出して調べてみると、由来はまさにここであった。

明治時代より太平洋戦争中にかけ、正午に午砲(空砲)を撃つ地域があり、半日経った時間に「ドン」と撃つことから「半ドン」と呼ばれるようになった。

とまれ、時間の構造さえも変わることがある。いくら不確かな時代でも、時間だけは確実で絶対だと信じて疑わないが、現実問題、それさえも怪しい。

ご支援のお願い

もし当ブログになんらかの価値を感じていただけましたら、以下のいずれかの方法でご支援いただけますと幸いです。

Amazonギフト券で支援する
→送信先 info@tomonishintaku.com

Amazonほしい物リストで支援する

PayPalで支援する(手数料の関係で300円~)

     

ブログ一覧

  • ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」

    2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。

  • 英語日記ブログ「Really Diary」

    2019年より開始。もともと英語の勉強のために始めたが、今ではすっかり純粋な日記。呆れるほど普通の内容なので、新宅に興味がない人は読んで一切おもしろくない。

  • 音声ブログ「まだ、死んでない。」

    2020年より開始。ロスのホームレスとのアートプロジェクトでYouTubeに動画をアップしたところ、知人にトークが面白いと言われたことをきっかけにスタート。その後、死ぬまで毎日更新することとし、コンテンツ自体を現代アートとして継続中。

  • 読書記録

    2011年より開始。過去十年以上、幅広いジャンルの書籍を年間100冊以上読んでおり、読書家であることをアピールするために記録している。各記事は、自分のための備忘録程度の薄い内容。WEB関連の読書は合同会社シンタクのブログで記録中。

  関連記事

amazon輸入ビジネスの闇 現役出品者が見た価格戦争と広がるやらせレビュー

厳しい現実が誠実な筆致で書かれており非常に好感が持てる。食べログなどにも通ずる口 ...

日本の方言

専門的過ぎて、教養としての読書というような気持ちではハードルが高すぎる。 この分 ...

メンタルが強い人がやめた13の習慣

正直、この本が好評なのだとすれば、みんな「おれみたいになりたい」のかあ、という結 ...

アジア文化探検

たしか、神保町の古本屋で買った本。前半はかったりー、価値ねー、という感じだったが ...

人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている

売れたいアーティストは必読。最近私のぼんやり考えていたことが、恐ろしく的確に説明 ...

当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。

Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited. All Rights Reserved.

Copyright © 2012-2024 Shintaku Tomoni. All Rights Reserved.