「賭け」と宗教―あきらめ哲学とデタラメ精神 (ひろ さちや/鈴木出版)

購入価格:530円
評価:
この記事は約1分16秒で読めます
ギャンブルをやる人はどうも程度が低い人と断じられてしまう昨今であるが、敬愛するドストエフスキーなどは、賭けには魂の震えがあって云々などという立派なんだかよくわからないことを言っている。まあ、本書を読むと、賭けというものが人間の在り方そのものと親和性があるのかもしれない、くらいは思う。
あきらめることは、がんらい「明カラメル」ことだそうだ。真理を明らかにすること――それがことばの本来の意味である。
「賭博」というものは、「偶然ノ輸贏二関シ財物ヲ以テ博戯又ハ賭事ヲ為」すということになる。「輸贏(ゆえい)」とは、「負けと勝ち。勝ち負け」(『学研・国語大辞典』)だそうだ。つまり、偶然の勝負に財物を賭けるのが賭博である。
フランスの哲学者パスカルの『パンセ』の中の一節に、神の存在に関わる一節。
「神は存在するかしない存在しないか」を言明しよう。だが、われわれはどちらの側へ傾くであろうか? 理性はその場合、何ごとをも決定することができない。そこには、われわれを隔てる無限の混沌がある。この無限の距離果てるところで、一つの賭がおこなわれる。表が出るか裏が出るかなどのだ。君はどちらに賭けるか?
パスカルの計算は簡単だ。神が存在する方にかけて、そして当たれば、われわれが得ることのできる幸福は無限に大きい。一方、それで賭けが外れても、失うものはほんのわずかだ。反対に、神は存在しないに賭けて、それが当たっても、得られるものはごくわずか。それならば、神が存在するに賭けるのが当然であろう。
私はれっきとしてカトリックのクリスチャンであるのだが、このくだりは非常に考えさせられるものがある。
- 前の記事
- 1日1ページ、読むだけで身につく世界の教養365
- 次の記事
- 明治・大正人の朝から晩まで
出版社・編集者の皆様へ──商業出版のパートナーを探しています
*本ブログの連載記事「アメリカでホームレスとアートかハンバーガー」は、商業出版を前提に書き下ろしたものです。現在、出版してくださる出版社様を募集しております。ご興味をお持ちの方は、info@tomonishintaku.com までお気軽にご連絡ください。ブログ一覧
-
ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」
2007年より開始。実体験に基づくノンフィクション的なエッセイを執筆。不定期更新。
-
英語日記ブログ「Really Diary」
2019年より開始。英語の純粋な日記。呆れるほど普通なので、新宅に興味がない人は読む必要なし。
-
音声ブログ「まだ、死んでない。」
2020年より開始。日々の出来事や、思ったこと感じたことを台本・編集なしで吐露。毎日更新。
関連記事
職業としてのAV女優
2016/05/15 book-review book, migrated-from-shintaku.co
将来、もしも自分に娘が出来て年頃になったら読ませたい。若気の至りというのは無数に ...
英会話とっさのひとこと辞典
2017/09/10 book-review book, english, migrated-from-shintaku.co
シンガポールにきた初日、リトルインディアのカプセルホテルの中からずっと読んでいた ...
ソロエコノミーの襲来
2020/06/07 book-review book, migrated-from-shintaku.co
雑に言えば、いわゆる「おひりとりさま」を「ソロ」に言い換えて、いろいろ論理的に展 ...
なぜ女性は牛丼屋に行かないのか
2014/05/04 book-review book, migrated-from-shintaku.co
タイトルだけで買ったが、ほぼ牛丼に関係ない、が、非常に有用な内容だった。地味にオ ...
精神病覚え書
2021/03/18 book-review book, migrated-from-shintaku.co
あの人はおかしいとか、なんとか、人は言う。しかし、その判断基準、ふりかざすモノサ ...