日本人の英語 (マーク・ピーターセン/岩波書店)
購入価格:449円
評価:
この記事は約1分28秒で読めます
脳は私で、自意識で、すなわち脳死は自己の決定的な死であるという考えが主流であるが、それは案外にあまりにも単純な考えなのかもしれない。
もっと、意識は脳という局所的なところにだけあるのではなく、腕や足など身体のそこここに、あるいはこの世界全体に散らばって偏在しているのではないか。
などと言ってみたが、本書は期待していた内容の数百倍は小難しく科学的で、あまり面白くなかったというのが正直なところ。
獣の意識というのは単にその獣の身体の働きの副産物にすぎず、その身体の働きを調節したり変えたりする能力は一切備えていないと考えられる。それはちょうど蒸気機関車の鳴らす汽笛が、その機関車の動きに何の影響も与えないのと同じである。もし獣に意志と呼べるようなものがあるとすれば、それは生理的変化の指標となる情動にすぎず、そのような変化の原因ではない……私の判断では、獣に適用できる論法は人にも当てはまる。したがって、われわれ人の意識はすべて、獣がそうであるように、脳内物質の分子変化によって直接引き起こされた状態である。
こういう課題をこなしている時は、脳のこの部位とこの部位の活動が活発になる」と画像で見ることはできる。しかし、それらの部位の活動が活発になることと、行動が現れることとをイコールで結ぶような純な解釈はできない。必要であるということと、十分であることとは違う。全体論でも局在論でも説得力のある説明はできない。つまるところ、「脳の分業」と「脳の統合」という両面からの理解が不可欠なのだ。
ヘラクレイトス的幻想 (Heraclitean illusion)
時間の点が過去から現在、そして未来へとスムーズに流れていくという考え方。これは幻想である。体験に直接アクセス可能なのは現在だけであり、過去と未来は概念でしかない。
- 前の記事
- 英語で話すヒント 通訳者が教える上達法
- 次の記事
- 赤瀬川原平の名画読本—鑑賞のポイントはどこか
ご支援のお願い
もし当ブログになんらかの価値を感じていただけましたら、以下のいずれかの方法でご支援いただけますと幸いです。
Amazonギフト券で支援する
→送信先 info@tomonishintaku.com
ブログ一覧
-
ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」
2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。
-
英語日記ブログ「Really Diary」
2019年より開始。もともと英語の勉強のために始めたが、今ではすっかり純粋な日記。呆れるほど普通の内容なので、新宅に興味がない人は読んで一切おもしろくない。
-
音声ブログ「まだ、死んでない。」
2020年より開始。ロスのホームレスとのアートプロジェクトでYouTubeに動画をアップしたところ、知人にトークが面白いと言われたことをきっかけにスタート。その後、死ぬまで毎日更新することとし、コンテンツ自体を現代アートとして継続中。
関連記事
幸せな小国オランダの智慧 災害にも負けないイノベーション社会
2021/07/30 book-review book, migrated-from-shintaku.co
福沢諭吉の「福翁自伝」を読むと、オランダ語を通じて科学から政治まで、あらゆること ...
サービスの達人たち
2021/10/16 book-review book, migrated-from-shintaku.co
達人という言葉にはどこか職人的なイメージがある。しかし「サービス」という無形のも ...
仕事なんか生きがいにするな 生きる意味を再び考える
2017/07/16 book-review book, migrated-from-shintaku.co
いかにもなちゃらい新書らしいタイトルだが、しかし中身は読み応えも考え応えも十分。 ...
旧約聖書を語る
2020/02/05 book-review migrated-from-shintaku.co
相変わらずの聖書についての勉強。正直、何を得られるというわけでもないと思うが、寝 ...