翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだった (金原 瑞人/牧野出版)

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正直、読み通すのが非常にしんどいものがあった。内輪で盛り上がるバラエティのようなノリが随所にあり、あ、そう、と興ざめすること二度三度、四度五度。

また、著者が自分のことを「金原」と自分の名字を使うのも気持ちが悪く、なぜ編集者はそこを校正しなかったのか、あるいは仮にもプロの翻訳家である著者自身が、なにゆえ無駄なノイズを発生させる表現を選んだのか、理解に苦しむ。

じつはその本、当時、日本ユニ・エージェンシーにいた加島牧史(加島さんも加島くんも、なんとなく違和感があるので、とりあえず呼び捨て。向こうも「金原」と呼びかけてくるし)が、下訳をしないかともちかけてきたのだった。じつは彼のお父さんは著名な翻訳家で、その人の下訳を、という話だった。

英語と日本語の一人称はかなり違う。なんといっても英語の場合、一人称は「I」ひとつ。幼児でも若者でもおばあちゃんでもドラゴンでも異星人でも、みーんな「I」なのだ。これは考えようによれば、すごいことかもしれない。じゃあ日本語ではドラゴンや異星人のための特別な一人称があるのかといわれると、それはないが(たぶん)、とりあえず「ぼく、おれ、わたし、わたくし、あたし、あたい、自分、自ら、己れ、われ、わし、拙者、うぬ、朕……」数え上げればきりがない……ことはないだろうが、ずいぶんたくさんあるのは間違いない。そしてそれぞれが独自のニュアンスを持っている。

日本人でも本に興味のある人は少ないが、海外ではさらに少ない。本屋なんか一度もいかないまま墓に入る人はざらにいるのだ。新聞は読んだことがない、本も読んだことがないという人が驚くほど多い。それにくらべると、ほぼ毎日のように新聞をとっている日本人なんて(読むかどうかは別として)、世界でも珍獣に近いと思う。

最後のとこだけは、ハッとさせられた。正直、本なんか読まない人が大多数であることを忘れていた節がある。反省。

     

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