健康診断の話(前編)

最終更新: 2017/08/22

表題の件について、書こう書こうと思いながらずいぶんと日が経ってしまった。

先月の中ごろ、健康診断を受けた。かれこれ5年ぶりくらいになるのではなかろうか。

その間、実に退廃した精神状態およびろくでもない生活を送ってきたので、おそらく何かしら問題のある身体になってしまっているだろうと思う。まだ結果は返ってきていないが、おそらくは。

だったらせめて年に一度くらいは健康診断を受けていればよかったのだが、しかし、自分でお金を払って手配をしてまで行こうとも思えないのであった。が、ここにきてようやく、会社の制度として健康診断が設けられているという幸運に預かったのである。

さて、訪れたのは千駄ヶ谷にある、なかなかに立派な検診センターである。

事前に渡されていた検診票を受け付けに出す。看護婦、「お小水は?」と問う。はいこれですと、今朝採りたてのぼくの小便を渡す。

さらに看護婦問う。「お通じは二日分取れましたか?」。はい、幼少のころより毎日快便というかむしろお腹がゆるめですので何の問題もなく採れましたと、昨日今日と二度にわたってひねり出したぼくのうんこを渡す。

結構です、おかけになってお待ちくださいとうながされ、ぼくは待合室の適当な空席にこしかけた。

まもなく、新宅さんと呼ぶ声あり。

体重身長の測定、血圧、採血、触診と続いた。注射は嫌いなので目をつむってやり過ごした。

やれやれ終わったと思っていると、さらに胃の検診があるという。例のバリウムを飲んでX線照射されまくり被ばくしまくりの、もはや時代遅れもはなはだしい検査である(バリウム検査の是非についてそうとう調べました)。

ある年齢以上になれば追加の検査項目があるとは聞いてはいたが、しかし、ぼくはまだ32歳である。バリウム検査は35歳からだと聞いていたので、何かの間違いではなかろうか。

いや、こんな立派な病院が間違えることなどあるわけないだろう、という愚かな盲信と、バリウム検査に対する単純な好奇心でもって、言われるがまま別棟に向かった。

まず、これから開腹手術でも受けようかという検査着に着替えるよう命じられた。ぼくは素直に従った。

それから、名前が呼ばれ、レントゲン室に通された。そこは、ぼくの知っているレントゲン室よりもよほど広く、あるいは宇宙飛行士が無重力だかなんだかの訓練を受けるような無機質な空間が広がっていた。

続く。

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新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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