独学の精神 (前田英樹/筑摩書房)

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くら寿司のアメリカ店舗「KULA」や、海外のDAISOについてのくだりは、しみじみと悲しくなる。あれもこれも、100円なのは日本だけ。初めこそ私も向こうが高いのだと思って暮らしていたが、帰国してみると、あらためて日本が危機的に安過ぎるだけなのだということを痛感。

日本は戦後ずっと、「生き残るには価格競争しかない」という状況が続いてきた。 他の誰もがやらないことに特化して「オンリーワン」で勝負する欧米企業に対して、日本企業は品質や性能、領域のユニークさで競うことができず、安さで勝負をする傾向があるためだ。

アメリカ人件費、5年で2割増
気になる海外での価格だが、アメリカは2.6ドル~3ドル(約270~約310円)、台湾は38台湾ドル(約140円)で、やはりいずれも日本の100円よりも高い。「もちろん現地の競合店よりはだいぶ安くしている。それでもやっぱり人件費が高すぎて、日本よりは高くせざるを得ない」(田中社長)という。「アメリカでは魚はあまり食べられないので安く、コメも安い。つまり原材料は安いが人件費と家賃が日本より桁違いに高い」

高級車の組み立て工場における生産性(1台あたりの組み立て時間)は日本が約17時間でアメリカは約33~38時間、ヨーロッパは約37~111時間とされていた。 それでもドイツの生産性が高いと言われる所以は、価格にあったのだという。自動車など多くのモノが、日本よりも高い。(中略) 「ヨーロッパで5倍の時間をかけて作った車も3倍の価格で売れば、金額の生産性は2倍になる。それこそがドイツの生産性の高さの理由だった」と分析する。特にドイツは「需要が低いときでも絶対にもうかるように」と、需要変動のボトムに合わせた生産能力で生産設備を持つ。そのため、例えば自動車ならデイーラーに行くと「納期は半年後」と言われることもよくある。だが自動車に限らずドイツ製品はブランドで差別化されているので、多少の価格差で消費者が他ブランドに流れることは少ないという。つまり、市場で欠品しても消費者は待つしか選択肢がないのだった。一方で、日本は欠品しないように需要変動のピークに合わせて生産能力を持つため、需要が落ち込んだときに値下げをしてしまう。「日本の生産性が低いという理由の一つは、日本の価格付けの『安さ』にある」

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