アメリカの現代写真 (小久保彰/ちくま文庫)

書籍アメリカの現代写真(小久保彰/ちくま文庫)」の表紙画像

購入価格:573

評価:

この記事は約2分32秒で読めます

心理療法家としての実体験をもとにしており、下手なホラーなんかよりよっぽど怖いストーリーの数々は圧巻。人間という存在の根本を考えさせられる。

子供が精神科の診療に連れてこられたときには、その子供は「見なし患者」と呼ばれるのが通例となっている。この「見なし患者」という名称を用いることによってわれわれ心理療法医は、その子が患者と呼ばれるようになったのは、両親やほかの人たちがそういうラベルをはったからであって、治療の必要な人間はほかにいる、ということを言おうとしている (中略) 障害の診断を進めるうちに、その障害の源が当の子供自身にではなく、その子の両親、家族、学校、あるいは社会にある、ということを発見することが多い。もっと簡単な言い方をするならば、その子以上にその子の親のほうが病気だということが明らかになるのが普通である。

邪悪性は治療不能だとする考え方がある。治療法も、また治癒したケースも知られていないものを、なぜ病気と名づけるのかというわけである。医者の診療カバンのなかに若返りの万能薬が入っているというのであれば、老化を病気と呼ぶことにも十分な意味があるが、一般には、また、現状では、老化は病気とみなされていないではないか

私は16歳のときに、春休みを利用して4本の親知らずを全部抜いたことがある。抜歯後の5日間、私のあごは痛んだだけでなく、はれあがって口を開くこともできなかった。 (中略) その5日間というもの、私の心的機能の水準は3歳程度に低下していた。つまり、完全に自己中心的になっていたのである。泣きごとをいい、他人に当たりちらしていた (中略) 長期間――たとえば1週間程度――苦痛や不快な状態に置かれたことのある人ならば、このときの私の経験したことが思いあたるはずである。不快な状況に長期間置かれている人間は、当然のことながら、ほぼ不可避的に退行を示すものである。心理的成長が逆行し、成熟性が放棄されるのである。急激に幼児化し、より未開の状態に逆もどりする。

記事カテゴリー: art

ご支援のお願い

もし当ブログになんらかの価値を感じていただけましたら、以下のいずれかの方法でご支援いただけますと幸いです。

Amazonギフト券で支援する
→送信先 info@tomonishintaku.com

Amazonほしい物リストで支援する

PayPalで支援する(手数料の関係で300円~)

     

ブログ一覧

  • ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」

    2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。

  • 英語日記ブログ「Really Diary」

    2019年より開始。もともと英語の勉強のために始めたが、今ではすっかり純粋な日記。呆れるほど普通の内容なので、新宅に興味がない人は読んでも一切おもしろくない。

  • 音声ブログ「まだ、死んでない。」

    2020年より開始。日々の出来事や、思ったこと感じたことをとりとめもなく吐露。死ぬまで毎日更新することとし、コンテンツ自体を現代アートとして継続中。

  関連記事

アートの価値 マネー、パワー、ビューティー

Amazonで安めだったので買ってみたら、ごく最近の新しい本だった。 アートは現 ...

現代美術—ウォーホル以後

老いることも死の恐怖もない。胸糞の悪い、嫌なことがあった時は、二日酔いのような不 ...

震美術論

一言でいえば、311を受け、大きく“災い“という観点から、日本の美術を総括しよう ...

逆引きでわかる色鉛筆の技法書

ほとんどが図版である。 そもそも、これを読書と言っていいのかはわからないが、隅か ...