世界がわかる地理学入門――気候・地形・動植物と人間生活 (水野 一晴/筑摩書房)

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ふだん、なにげなく暑いとか寒いとか、湿気が多いだとか乾燥しているだとかぼやいているが、それもまたひとつの地理に他ならない。

考えてみれば、日本の生活は日本の地理的環境(山が多く水が豊富等)に適応しようとしたその結果である。アニミズムなどの思想体系もまた日本の環境がもたらしたものだし、あるいは砂漠で生まれたイスラム的思考もまた厳しい環境によってこそ生まれたのである。

環境は人間にとって最上位にくるものであって、いかなる自由も環境的な制限を超えることはできないのものだと、改めて思う。

「気候」の英語である climate の語源はギリシャ語の klima (klinein 傾く)から来ていて、また、英語の元であるラテン語で clinare は傾くという意味である。つまり、地球上の気候は地球の地軸が23・4度「傾く」ことから生じているのだ。

狩猟採集民には、農耕民にあるような「土地所有」の観念がない。土地は個人が所有するものではなく、みなで利用するものである。

出島に入るときに江戸幕府の役人からひとりひとり尋問を受けたが、シーボルトを尋問した江戸幕府の役人は、商館長に、「この男はオランダ語の発音がおかしくないか」と問うた。ドイツ人であるシーボルトのオランダ語が少々おかしかったのであるが、商館長は、「この男はオランダでも山奥の出なので訛りがひどいのです」とうまく切り抜けた。しかし、オランダには山はない。当時の役人はオランダ語が堪能であったが、世界の地理の知 識は貧弱だったのである。

アイヌの赤ん坊は泣き声を模してアイアイと呼ばれるが、またテーネプ・テンネプ(汚物まみれ)という。2~3歳になるとポンシ ョン(小さなうんこ)、4~5歳のときはションタク(うんこのかたまり)と呼ぶ。これは、よい名前をもつと悪霊のとりこになるから、名前負けしないように、わざときたない呼び方をするのだという

     

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