さよなら広島

  2015/07/03

わたくし、このたび東京に引っ越すことにいたしました。って、今年の2月に東京から帰ってきたばかりだが。

ツイートを見ている人はすでにご存じかと思うが、先週の金土日と、親友のひぐちくんが広島に来ていた。

それでまあ、飲んで、しゃべって、広島の美術館3館合同でやってるアートアーチヒロシマというのを見て(先日見て回ったので2回目)、平和祈念資料館に行って、また飲んで、飲みすぎていつ寝たか覚えてなくて、気づけば朝で、ひぐちくんに布団を敷いてあげることもなく床で寝かせてしまったりして。

まあ、とにかくは久しぶりに心から笑った。心の底から楽しくてうれしくてしょうがなかった。

いろいろ思うところあって広島に戻ってきたわけだが、これはもう、ほかの一切の何ものにも代えがたいものじゃないのかと思った。色恋沙汰よりも友情のほうが百兆倍は大事ではないか。

実際の話、いまの日々にぼくの心は折れ、枯れている。ああ、毎日でもこうしてひぐちとしゃべることができたらどんなにいいだろう。どんなに幸福だろう。

そして結論は単純であった。東京に戻ろう。

そう結論してすぐ、平和祈念資料館でひぐちが展示を見て回っているとき、ぼくは最近立て続けに訪れていて若干飽きているので、ベンチに腰かけて、やや二日酔いのぼうっとした頭で、退職願のメールを作成した。

また仕事を探さねばならない不安から、送信ボタンを押すのを2、3分迷ったが、まあ、どうにもならんくなったら死ねばいいだけの話やと腹を決め、会社の代表にLINEで退職願のメールを送信した。

返事は小一時間であった。受理したという返事かと思いきや、なんと、新宿にある東京営業所で働けるとのことだった。しかも諸条件はそのままで!

ああ、神様、なんという幸運だろうかと、ぼくはただただ感激するばかりであった。

そういうわけで、10月末日まで広島で働き、引っ越しは11月1日に、国立市に引っ越す予定。なぜ国立かというと、言うまでもなく親愛なるひぐちくんが住んでいるから以外の理由は一切ない。

広島での日々は骨休めだったということにして、ふたたび東京にゆく。そう考えると、胸はただただ高鳴る。ああ、そうか、結局のところ、ぼくは東京に行きたかったのだなと思う。

ぐるぐると回り道、寄り道、遠回り、そもそもどこにたどり着くのか知れないが、とにかくはぼくの人生が進む。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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