おさかなと尿路結石

  2015/07/03

今日のタイトル、いったいなんの話をおっぱじめるのかと思われたかもしれないが、単に昨日の授業で魚を食べただけである。

中華料理の最後の授業、の画像。ホウボウとかいう魚を姿のまま蒸した。味はまあまあ。それと、おこげのナマコと豚アキレス腱のあんかけ、が奥のやつ。

なにやらこの中華で使う乾物のなまこは、戻すのに一週間もかかるうえに原価からして超高級品らしいのだが、しかし酢の物のコリコリしたやつのほうがよほどおいしいなと思った。その連想で、実家に帰ればあのなまこの酢の物をしょっちゅう食べられるんだよなあ、なんて思うと、そこはかとなく幸せな気持ちになった。あのかぐわしいゆずの香りとともにコリコリやりながら酒が飲みたい。なまこ。なめこじゃなくて、なまこ。なまたまごでもなくて、なまこ。

さて、話は変わり尿路結石は激痛だという。ちょっと前、いや、だいぶ前か、さかなくんが尿路結石になってぎょぎょぎょとか言っているニュースを見た、気がする。さかなの食べ過ぎ=カルシウムの取り過ぎが原因だとかなんとか。

原因はまあどうでもいいが、問題はその尿路結石の痛みである。七転八倒の苦しみ、のたうちまわる、失神しかける、などなど、表現からして恐ろしい。

考えてみれば痛みの表現というのはいろいろあるが、中でも女性の出産については実にさまざまな比喩がなされる。たとえば「鼻からスイカを出すような感じ」など、男性でも想像しただけで鼻が裂けそうな気になってくるほど秀逸である。

あたり前だが、痛みは人にはわからない。誰かがいくら苦しそうにうめいていても、当事者以外はまったく何も感じることができない。

やさしい人ならば、心で共感して胸を痛めるのかもしれないが、それはあくまでも想像力のたまものであって、現実の、物理的な痛みとは似て非なるものだろう。

まあとにかく、人に自分の痛みなどわかるものではない。だからそれをいくばくかでも伝えるには、大袈裟にやるしかない。

指先をちょっと切れば半泣き、熱が出れば青ざめてよろめき、頭痛がすれば額を押さえて天が落ちてくるかのような絶望のまなざしで中空を仰ぎ見る。

でもいつもいつもやっていると、オオカミ少年よろしく、誰も信じてくれなくなる。

それでも、いつでもある程度以上は信じてくれる人がいてほしいと思う。

昨日、まだ18時にもならない夕方、ひとりうらびれた中華料理屋で酒も飲まずラーメンをすする60代くらいの男性を見た。

その人に、なにそんなひとりでさびしそうに食べてるのと肩を叩いてくれる誰かが居てくれたらいいなあと、柄にもないことを思った。

大袈裟に振る舞えることは、イコールで、周りに誰かが居てくれていることなのだと、いまさらながらに気が付いた。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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