他人の眼と脳の先のわたし

  2017/08/22

一昨日のブログで書いたコイデさんが、ぼくについての徒然をfacebookに書いてくれた。

ぼくは何度も噴き出してしまった。それから、わけもなく――本当は自分に関心を持たれるということの快感だとわかってはいるが――うれしかった。

以下、コイデさんの書いてくれた文章を転載。

いわゆる思い出し。先日はごくごく新しい友人であるところの新宅さんが、昨年末からの忘れ物:メガネを取りに来るというので、ちゃちゃっと仕事を終えて家にてスタンバっていたのだった。

「ごくごく新しい」とわざわざ書くくらいなので実際の面識は数えるほどしかないのだが、ぼくは楽しげな人と楽しげな物体との関係には確信を持つ方なので、この先新宅さんとは興味深い付き合いになるだろうなっちゃうだろうぽわわーん、と考えていた。

新宅さん到着。メガネはしておらず(スペアのメガネをなぜしていないのかは…まあふれないでおこうw)、マスクを着用している。風邪なのか風邪予防なのかはわからないが、この時分は誰も彼もがマスクピープルなのでそこを詮索するのは無粋だろう。華麗にスルーだ。

非メガネVer.の新宅さんはなぜか控えめで、礼儀正しく(普段が無礼というわけではないが)、まるでコンビニにトイレだけを借りに来た内気な青年のような風情だった。

楽しげであるはずの新宅さんがそんなキャラではいかんと早速メガネを渡す。

装着。メガネVer.の新宅さんはみるみるうちに活気を取り戻し、フフフと不敵な笑みまで浮かべ始めたので、次に取り戻すのは食欲だなと餃子ポイントへと向かった。

うちに来た人間のほとんどが訪れているであろうこの餃子ポイントは、安くておいしいので誰からも評判がいい。

KMS構成員の佐伯さんはここの餃子の虜(まあ餃子であればなんでも虜)なので、写真をアップすれば「ううううぅ…」とか「ずるい…」とかのいいリアクションを必ずするだろうと思い、躊躇せずアップしたw

ひと通り食べてお腹いっぱいになる。でも新宅さんは飲み足りないだろうと河岸を変えてうちで安いワインを。「安ワイン」と書くとすごく悪者に思えるが「安いワイン」だと特売品みたいでお得だ。そうだお得だ。日本語はむずかしい。

そう、新宅さんはハウスが好きだという。むろん映画の「HOUSE」(古い)でも「ハウス食品」のハウスでも犬に命令する例のアレ(ハウスっ、ハウスっ!)でもなく音楽のジャンルとしてのそれだ。

うちもどこぞにハウスな音楽があるとは思うのだが、いつも思うにハウスの定義がニンともカンとも難しいのだった。音を聴けばああそれハウスだよねくらいの普遍性はあるのだが。

適当に見繕ってかけてみると、おおよそ好感触だった。

さらに新宅さんは絵を描く時には好きな邦楽などをかけて歌いながら描くのだという。ノリノリの状態で制作にとりかかるわけだ。いいなーと思った。できることならぼくもそうしてみたいが、こちらはそもそも作っているものが音楽なので、他の音楽でノリノリになりつつ自分の曲を作る、というわけには到底いかないのだったw 絵を描きながら曲を作ればいいのだろうか。もっとムリだ。

新宅さんはとにかく酒飲みなので際限なくごくごくいって、ここでお泊りしてから出社かと思われたが、キリのよい時間でささっとお開きに。また酩酊して再度メガネを忘れていったのなら新たな伝説が生まれたのだが、非常に残念だw

…………………………。

とかなんとか、先日はそういった時間を過ごしていたのだが。

ぼくは新宅さんと知り合う前は彼のブログの読者というかよいファンであり、『おもしれーおもしれー!』と読んでいたのだった。平面上の彼もかなり面白いのだ。

ぼくは金銭や物品を介さない間柄で「おっコイツは!」と思った人物とはとことん面白い関係になりたく、また相手のことを可能な限り理解したいと思うひとなので、ぐいぐい面白くお気に入りな関係になればいい、なっちゃえと思うのだ。

しかし…まさかかのブログに自分がフィーチャーされてしまうとは…ネット社会ってこわい、東京ってこわい、イタリアンマフィアってこわい、いや違うこわいのは新宅さんだ。これは今後下手なことができん。

新宅さん、ともあれ「二次元のトモニー」から「三次元のオキニー」へ昇格おめでとう こういう状態はこっぱずかしく、ムズムズし、そして生々しい(笑)

転載終わり。

とりあえず思うのは、文章表現うめえ、ということである。以下の箇所など、ちょっと素人とは思えない豊かな表現だと思う。

"「安ワイン」と書くとすごく悪者に思えるが「安いワイン」だと特売品みたいでお得だ。そうだお得だ。日本語はむずかしい。"

まったく、誰でもこれくらいの文章表現能力を持っているものなのだろうかと、ちょっと自分自身の文章表現能力の評価を疑ってしまうほどである。つまり、ぼくは自分の文章表現能力を過大評価しているのではないだろうか。

って、人のことを取り上げながら、結局自分のことかよッという感じである。まあ、自分に対する関心が尋常ではないからこそ、ナルシストでありエゴイストなのだ。

コイデさんは音楽をやっているらしいが、小説も書いたほうがいいのではないだろうか。ぼくはサエキさんの文章表現も買っているが、あるいは、ぼくは人の文章を過大評価する傾向があるのかもしれない。

いや、そんなことはない、と信じたい。大抵の人は、400字詰原稿用紙一枚だって四苦八苦するのであって、twitterやfacebookで「今日は○○で同僚の○○とランチ。おいしー。たのしー。」程度の文章表現能力しかないだのと思う。いや、思いたい。バカばっかりなのだと思いたい。そう、バカばっかり!

まあ、それはともかく。

最近、また新たにぼくのブログを褒めてくれる人に出会ったので、にわかに文章表現熱が高まっている。それで、もう一度小説を書こう、書きたい、書き上げたい、そして文学賞に応募したいと思っている。

とはいえ実情は、絵がおもしろくない時の逃避先としての文学でしかなかったりもする。

でも、少なくとも、上京当時、23才の時、ドストエフスキーの地下室の手記に感銘を受けて、たちまち画家志望から小説家志望に鞍替えしたときよりは、絶対に良い文章が書けると思うのだ。

いま、ぼくに足りないのは、ある一定量の、秩序立った塊としての文章を、こつこつと組み上げる粘り強さである。

日々のブログ程度ならば起承転結を意識して構成し、それほど苦もなく組み上げられるが、原稿用紙200枚とかの文学賞応募レベルの量となると、あまりにも意識が散漫になって、制御不能に陥ってしまう。

って、どれだけの人がこの文筆についての悩みを共有できるのだろうか。まあ、別に共有されなくてもいいんだけれど。

このブログを読んで、おもしろいと言ってくれる人がいること。ただそれだけのことが、ぼくにとって、いつの間にか、とてつもなく意義のあることになって、精神的な栄養になって、大きな支えになっているような気がする、そんな今日この頃である。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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