にわか赤ペン先生
2015/07/03
本日のタイトル、博多名物の「にわかせんぺい」にかけたいと思い、「にわか先生」にしようかと思ったが誰にも伝わりそうにないのでやめておいた。
今日のブログ、ほんとうは昨日見に行ったエンソフの樋口さん(いつも出てくる親友の樋口くんとは無関係)という方のライブ(コンサート?)について書こうかと思ったのだが、時系列的に表題の件が先なので、それについてはまた明日。
さて、先日の土曜日のこと。姉から以下のようなメールが届いた。
仕事始めるんだけど、お客さんに出すDMの文考えました。日本語おかしかったり、直した方がいい所あればアドバイス下さい。礼儀正しくかしこまり過ぎない感じでと思って考えました!
拝啓
心のせわしい年の暮れ、いかがお過ごしでしょうか。さて私こと、ご無沙汰しておりましたが、仕事に復帰いたしました。
産休中はいろいろご迷惑をおかけしたことと存じますが、今後はまた美容師としてより一層成長出来るよう頑張りますので、旧に増してご贔屓賜りますようお願い申し上げます
敬具 長谷川 仁奈
どうかね?!
というような内容である。
旦那ではなく弟に添削を依頼してくるあたり、いや、姉の旦那は屁理屈の専門家だからだろうけれども、まあとにかくは弟の文章作成能力について一目置いてくれているようでうれしい限りである。
そういうわけで張り切って添削させていただきました、のが以下。
拝啓
気忙しい年の暮れ、いかがお過ごしでしょうか。
さて、私こと、このたび縁あって仕事に復帰させていただくことになりました。
産休中はいろいろとご迷惑をおかけしたことと存じますが、今後はより一層皆様のお役に立てるよう、また美容師としても成長出来るよう頑張って参ります。
旧に倍してご贔屓賜りますようお願い申し上げます。
敬具 長谷川 仁奈
大前提としては、本人がひねり出した言葉をなるべく生かすよう心がけました。で、わたしの考えた赤ペン添削ポイントは以下の通りである。
・「心」は人間の感情の深い部分を表す時に使う単語だと思う。「心がせわしい」という表現では、ただ忙しいというよりも、深刻な問題があって心が落ち着かずざわざわしているようなニュアンスがある。そのため、時候の挨拶としてはもっと軽めの「気」のほうがふさわしい。
・「仕事に復帰いたしました」だと、何か報告書のようである。それも事後報告。あくまでも無沙汰をわびる、これからまたよろしくという手紙であるので、「させていただく」とへりくだるのが正しいかと思う。さらに「このたび縁あって」とつけることで、自身の力だけではなく世間のおかげ様でという感謝を表すことができる。
・「今後はまた美容師としてより一層成長出来るよう」とあるが、これだとまずはおまえの自己実現かいっ!と傲慢な感じがなくもないので、まずは皆さまのお役に立てるよう、そして控え目ながら自分の成長も、という構成にした。
・「旧に増して」という表現はない。「旧に倍して」である。
以上、ぼくの添削した文章についてだが、姉が働く予定のお店の方にも褒められたそうなので調子に乗ってえらそうに解説してしまいました。が、しかし、いま改めて読み返すと、まず冒頭に「ご無沙汰しております」と素直な挨拶を持ってくればよかったなあと思う。気忙しいの前に「なにかと」をつけて柔らかくすべきであった。また、「いろいろとご迷惑をおかけしたことと」の部分、「と」が連続しすぎていて気持ちが悪い。それに「賜りますよう」のあとに「よろしく」を入れたほうがいいに決まってるよなあ、とか、とか。
前に本気で小説を書いていたので経験としてわかるのだが、文章の推敲というものはほんとうにキリがない。読み返せば読み返すほど、時間が経てば経つほど、これでもかというくらいに直したい箇所が出てくるものなのである。
もっとよい文章が書けるよう精進したいと思う。いや、画家になるんだけれども。
広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。
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