そうだ、クリスマスケーキを買おう
最終更新: 2015/07/03
コンビニでも、スーパーでも、はたまた100円ローソンでも、ケーキを売っておりました。
急に本格的になった寒空のもと、店外に売り子が立って、クリスマスケーキはいかがですかと声を張り上げておりました。
2012年12月24日21時ごろ@登戸駅前。
ぼくはいかにもクリスマスらしい赤と緑を基調としたチェック柄のパジャマのズボンに、上にはダウンジャケットに近いマウンテンパーカーを羽織っておりました。
寒かった。なぜならノーパンだったから。最近、すこしずつパンツが減ってきているような気がする。
いやだ。あらいやだ。泥棒かしら、いわゆるコソ泥なのかしら。下着泥棒なのかしら。まさか、ハッ、あのとき、ヒッ、まさか、あなただったなんて。
そういう趣味ではない。乾いているパンツがなかった。だからノーパンだっただけのことである。下半身が寒かった。だけど心はポッカポカ、ならばいいのだが、夜までもしつこく続く二日酔いでムッカムカであった。
ムッカムカで、クリスマスケーキや売り子を一瞥してふんと歩く。ふんふん歩いていると、いかにも今からあたいらクリスマスケーキをいちゃいちゃ一緒に食べるねん、めっちゃ好きやねん、というカップルが散見された。
うらやましくもなんともなかった。ただただムッカムカしていた。クリスマスだなあ、と思った。
ひとりスーパーに行った。十割そばを買った。わさびとしょうがのチューブを買った。暖かいやつではなく、ざるそばが食べたかった。
帰り道にもまた、コンビニ等々の、クリスマスケーキ及び売り子を一瞥して、通り過ぎた。
通り過ぎるとき、視力0.1くらいの裸眼のぼくの眼に、ケーキの上のチョコレートの飾りに筆記体で書かれた、「Merry X'mas」の文字が、一瞬、夏の花火を映す川面のように映えて、すぐ消えた。
下半身が、寒かった。

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。
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