どなたか、人類が滅亡したという方はいらっしゃいませんか?

  2015/07/03

さて、人類が滅亡したわけですが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

どうでしょう。地割れでも起きていますでしょうか。火山でも噴火しましたでしょうか。津波でもありましたでしょうか。はたまた隕石でも降ってきましたでしょうか。

人類は滅亡が大好きである。筆頭は1999年のノストラダムスの予言であるが、しかし、あれ以上の恐怖感は後にも先にももう無いだろう。

1999年の数年前にノストラダムスの予言を知った。その頃、ぼくは十分にお子様であったが、確かに恐怖感があった。隕石だか悪の大王云々ではなく、1999という数字そのものにただならぬ雰囲気があったのだ。

1999と2012をくらべてみてほしい。歴史としての事実は置いておいて、心静かに眺めてみてほしい。

どちらの年に大事件があったでしょうか? あるような気がするでしょうか?

1999年である。すでに過ぎ去ってしまったし、何があったかの歴史的事実も知らないが、いま考えてみても何かが起こりそうである。

その何かがいったいなんなのかはわからないが、とにかくは"何か大変なこと"が起こりそうである。

それはさておき、あと10日ばかりで2012年が終わるわけだが、2012とはいかにも平凡な数字である。そして数字の印象そのままに、どうでもいい年であった(ぼくにとって)。だって、どうひいき目に見てもたいした数字ではない。

2013年も同様である。いかにも甘ったるい、だれた感じがする。2014年、2015年と続くわけだが、こんな平凡な数字では"何か大変なこと"が起こるような気がちっともしない。

2016、2017、2018、2019、2020、2021、2022、2023、2024、2025、2026、2027、2028、2029、2030と月日は流れていくわけだが、しかし、やはり危機感のある見栄えのする数字はちっとも出てこない。

2031、2032、2033、2034、2035、2036、2037、2038、2039、2040。全然だめである。このあたりで親が死ぬというイベントはあるだろうけれども。

2041、2042、2043、2044、2045、2046、2047、2048、2049、2050。だめだだめだ、こんなんじゃだめだ。

2051、2052、2053、2054、2055、2056、2057、2058、2059、2060、2061、2062、2063、2064、2065、2066、2067、2068、2069、2070。がっかりである。

ここらでわたしが死ぬという空前絶後の史上最大のイベントが発生するわけだが、つまり、わたしの人生においては、いっこうにたいした数字の年は訪れないのである。なんといっても100の位がずっとゼロなのである。これはいかにもさびしく、わびしい。情けない。締まりがない。威厳もなにもあったものではない。

2999や、3999、4999といった年を越えていく人たちがうらやましい。いや、ぼくだって1999という年を越えはしたが、それは右も左もわからない子供の時である。少なくとも「今年は1999だからなッ!」というような気持ちではなかった。

残念である。しかし、こんな話でここまで引っ張ってブログを書き上げるぼくは立派である。平凡な2012年のさなかにこの文才。ああ非凡である。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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