男はポニョってベンジャミン
2017/08/22
ほんとうはしっかりと絵を描くつもりであった週末。しかしF20のパネルに水張りしかしていない週末。
次は三菱アートゲートプログラムに照準を合わせる。これは、基本的に学生向けもしくは卒業後三年以内の人向けなのだが、ぼくは現在専門学校に通っているので運よく応募できる公募なのである。で、締め切りは7月17日の火曜日。
にもかかわらず、ほぼ何もしていない週末。
というのも、お察しの方も多かろうと思うのだが、群馬青年ビエンナーレ2012が落選だったのである。それで、たぶん、自分で思う以上に落ち込んでいる次第なのである。
しかし、こういう時は素直に落ち込むに限る。うれしい、悲しい、いわゆる悲喜こもごもをしっかりと味わえていること自体に感謝すべきであり、楽しむべきである。
生んでくれてありがとう、なんて。
それはともかく、救いといえば、自分でダメな理由がいくつもはっきりと自覚できる点である。たとえば「描き方の統一感が乏しい(描き方が確立されていない、どうやって描いたらいいかという手探り感がある)」「細密描写なのか、それなりの描写でいくのか、はっきりしていない」「シャープさが足りない」など、つまるところ「クオリティが低い」ということに尽きる。
モチーフとコンセプトに関しては今のところ一切の疑問も弱さも感じないのだが、いかんせん、実際の平面作品としてはまだまだだと思う。というか、自分で納得できていない作品を他人が納得してくれるわけもないような気もする(いや、往々にとして適当な作品が羽ばたいていってしまうことはあるのだが)。
まあ、そういう自己分析などなどをしつつも、無気力の谷に落ち込んでいるようである、が、とにかくは課題はクオリティ!というわけで、新しいプロジェクターを買った。そして、新しいプロジェクターで絵を描いた、のではなく映画を見てしまったクソ野郎である。
なぜって、無気力だから。文句あっか。
ひさしぶりに映画を見た気がする。しかも、プロジェクターで、大画面で見るのはなんて楽しいのだろう(今まで使っていたプロジェクターは、ヤフオクで買ったジャンク品に近いもので、映画を見るには難ありだった)。
で、ツタヤ様でレンタルさせていただきました。三作ほど。「男はつらいよ〜奮闘編〜」「崖の上のポニョ」「ベンジャミン・バトン」。
全部おもしろかった。のだが、特にベンジャミン・バトンは大好きなデビッドフィンチャー監督(ゲーム、セブン、ファイトクラブ、パニックルームなど)で、セブンとファイト・クラブでもブラッドピットを使ったし、デビッドフィンチャーとブラッドピットは今ではけっこう仲良しだったりするんだろうなあ、なんて、余計なことを思ったりしつつも、昼間っからワイン飲みながらめちゃくちゃに泣いてしまった。
なんか今の自分の気持ちにシンクロしたのかもしれない。
時間の流れというものは、ほんとうに切ない。そして、これは古今東西、あらゆる人や本でほんとうによく言われることだが、人は根本的に孤独だということ。
幸福の絶頂があるからこそ、不幸のどん底もあって、そうして、悲しいかな人というものは、あるいはその落差でしか何ひとつ感じとることができないのかもしれない。
とりあえず、今回の映画体験は、ひさしぶりということもあって感じることが多すぎたので、また明日以降も何かしらの感慨を書きたい。
そしてもひとつとりあえず、男はつらいよの倍賞千恵子と、ベンジャミンバトンのケイト・ブランシェットは、どこか似ている。そしてなにより、二人とも髪が長くて美しい。
本当に美しい人だなあと、つくづく思う、思った。映画だからあたり前だけど、いろんな角度から映し出される倍賞千恵子とケイト・ブランシェットを見ながら、とある人を思い出し、重ね合わせ、掛け値なしでそっくりだと思ったりして、また悲しくなったりして、そして疲れた。もう寝よう。
広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。
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