あめがふればおもいだす
2015/07/03
ちょっと聞いてほしい。
♪雨の日には傘をさすのが当たり前だと思ってた。だけど君に出会ってから、傘なんてさせない時があるのをはじめて知ったよ。
ただ、ただ、ずぶ濡れて、けぶる空を見上げて、ああそう言えば空があったんだなって。雨がふってくる、雪がふってくる、そんな空があったんだなって、はじめて知ったよ。
そんな当たり前のことを、はじめて知ったよ。Wow Wow Wow ……
ご存じだろうか。なつかしい歌である。しかし、うんうんなつかしいと思われた方は相当な嘘つきか痴呆、もしくは実社会でお愛想を振りまきすぎて迎合主義に身も心も染まってしまったかわいそうな人である。
だっていま、ぼくが適当に作った歌なんだから。
歌の歌詞なんてだいたい似ていると思う。音符のマークをつければ、人というのは勝手に適当なメロディーに乗せようとするものだと思う。
調べたわけではないが、雨に関する歌は非常に多い気がする。少なくとも、天気の良さを歌った歌よりは、圧倒的に多いと思う。たぶん。
それはきっと、人間が根暗だとか云々ではなく、単にちょっと憂いを帯びた情景の方が歌詞やメロディーを作りやすいからというだけだと思う。
ためしにもう一曲つくろう。
♪晴れの日には太陽に手をかざすよ。いつもは肌色だけど赤く見える私の手。おもしろいね。不思議だね。それって確か学研の漫画で読んだよ、血管の、血の色なんだってね。
そう、その名はヘモグロビン。もしくは白血球or赤血球。血が出る時は痛いけど、ときには痛いのも大事だよね。ああ、今日もいい天気。わたし元気、超元気。Wow Wow
そうだ、こんな日はドラッグストアに日焼け止めを買いにゆこう。もちろんSPFは高めよ、そう、50の、ウォータープルーフよ。Wow Wow 、Wow Wow ……
わたしのあからさまな悪意はご愛嬌として、日常的に文章を書き殴っている人間の端くれとして、断言しよう。明るい文より暗い文のほうが圧倒的に書きやすいのだ。暗い気持ちの時のほうが、言葉がすらすら出てくる。
ときに思う。いや、今日など、そう思っていた。なにか気の利いた、ちょっと笑えるような、おもしろい話を書こうと。
しかし、そう考えれば考えるほど、おもしろい話が出てこない、というか、おもしろい話にならない。
文章で人を泣かせるのはそう難しい話ではないが、笑わせるのはそうとうに難しいと思う。
どうでもいいが、今日の広島は雨である。facebookで知り合いの投稿を見る限り、東京も雨のようである。というか、その人が雨の日はなんとかって歌を思い出すとか書いていたので、こんな内容になってしまっただけである。
ぼくは何を思い出したかと言えば、もう何年も前だが、市ヶ谷で働いていて、その昼休憩に、雨の日は会いたくて困るというメールが届いたのを思い出した。
なんか、そのメールに涙ぐんで、空を見上げたりした、気がする。
雨は、たしかに人の心になにかしらの影響を与える。傘はさすし、手はふさがるし、辺りは薄暗いし、湿度は高いし、低気圧とやらで体調が芳しくなかったりするし、とにかくは雨。今日は雨。
広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。
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