「秋山祐徳太子+しりあがり寿 ブリキの方舟」を見た。
2017/08/22
を、広島市現代美術館で見た。先日帰郷した折に。いまさらだけど、感想とか、とか、など。まず、スーパーベテランの現代美術家と銘打ってあったんだけど、すいません、秋山祐徳太子さんのこと、知りませんでした。すいません。
そして、しりあがり寿さんのこともよく知りませんでした。重ねてすいません。つまり、よく知らない人ふたりによるコラボレーション展示をのこのこ見にいったわけです。それはつまり、たとえば布袋寅泰と星野源がコラボしててもただのユニットにしか見えないということです。すいませんすいません。さて、その展覧会の愚直な感想。
ぼく自身がひさしぶりに美術館に行ったのがおもしろかっただけで、これといってぐっとくることもなく、なるほどなあ、美術。美術っていいよなあ、という感じでした。内容としては、立体や絵画も展示してあったけれど、全体的にはインスタレーションで見せようとしてる感じ。
なんか最近、やたらと美術=インスタレーション、な気がしてしまう。1970年代の終わりごろから、空間自体を展示するインスタレーションの手法が始まったわけなんだけど、それで今でも最先端の芸術と思われる展示をしている六本木ヒルズの森美術館とかでもよくやってんだけど、いったいどうなんだろう。インスタレーションはそんなにおもしろいんだろうか。
エアコンの温度を一度上げるだけでもインスタレーションとして成立するんだけれど、もちろんそれを裏付け支えるテキストは必要なんだけれど、なんか、ねえ。
さらにわけもわからず毒づくと、この展示を見て、なんかインスタレーションという手法の限界を感じた。
というか、単にぼくが"こんな感じ"に飽きちゃっただけかもしれない。
この不思議空間どやー!非日常的やろがー!この空気を肌で感じてー!どやー!芸術って感じやろがー!
っていうような感じがする。美術館の遊園地化とでも言おうか、ただぱっと見のインパクトばかりが大きくて、絵みたいにひとつの"さも意味ありげな具体的な形"に焦点を合わせずに済むから、考え込まなくていいし感受性を発揮しなくて済む。
つまりふわ〜っと「ああ、今日は芸術しちゃったわ〜」という感じで、ちょっぴり素敵な休日の昼下がりを演出してくれるだけ、ではないだろうか昨今のインスタレーションは。鑑賞者の問題だろうか。
いや、それは単にぼくが芸術に対してどこかしらひねくれた、距離を置きたいような、大好きだけど大嫌い、というようなややこしいところがあるからかもしれない。お決まりのセリフ、あたらしい芸術とはなんぞや、と思う。まあ、人類滅亡の日まで、それは問い続けられ、仮の答えが提示され続けるのだろう。
で、僕もまあ、その仮の解答者でありたいなあと、めっきり絵を描いてないくせに思ってしまうのである。余談ですが、最後の展示室を見ているとき、たまたま秋山祐徳太子ご本人がいらっしゃいました。
ぼくは純粋なミーハーですから、握手してもらったうえに記念撮影をお願いする始末だったのですが、快く応じてくださったのはもちろん、自分の作品を指さしながら「こんなのわけわかんねえだろう!がははは」と放言し、いかにも"美術家"という感じの風貌と雰囲気でした。言うなら、世界のすべてのことがらは全部関係あるけど全部関係ない、というような、浮世離れした感じ。
わかりにくいですか。ついでに、ああ、ハイレッドセンターもこんな感じだったのかなあ、とか思ったり、ってぜんぜん違うか。
おまけ:以下、秋山祐徳太子さんの簡単な紹介を、広島市現代美術館のWEBサイトの展覧会紹介文から抜粋。
「秋山祐徳太子(1935年?)は 1960年代以降、《ダリコ》をはじめ、ポップハプニングと称するパフォーマンスを展開、とくに1975年、79年の東京都知事選出馬はひろく知られ、選挙ポスターが作品として全国の美術館に収蔵されています。一方で、男爵や仏像をかたどったブリキによる彫刻作品を継続的に制作してきました。近年もエッセイの出版、ブリキ彫刻の新作を発表するなど、旺盛な活動を続けています。」
広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。
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