休日の無味無臭化

  2017/08/22

「無意味化」としようかと思ったが、別に無意味というわけでもないなと思った。それで、「無味化」とした。

しかし。無味とくれば無臭であり、無味無臭とするのが自然なのではなかろうかということで、無味無臭化ということにした。人畜無害という言葉も頭をよぎったが、それは全然べつの意味だよなあ。やっぱり無味無臭化でいいんじゃないかなあ。

だからなんだ。

閑話休題。

最近、土日、つまり私にとっての休日というものが、どんどん嬉しくも楽しくもない、他の平日とさほど変わらない一日になりつつある。

休みだからといってどこかに行くわけでもないし、だらだらと寝るっていっても、ゆるいフレックスタイム制なので、普段からだらだら寝たいときは寝ているのである。

それに、休日こそ早起きをして、絵の制作に取り組まねばならぬ。だらだら寝ていても、ずっと頭の中に「絵、描かなきゃ」というのがある。

「絵、描かなきゃ」

しかし、とろりとろりと寝つづけて、起き上がることができないことが多々ある。でも、それでも。「絵、描かなきゃ、なあ、なぁ、なぁ……zzz」それから小一時間、ハッ! 「絵、描かなきゃ、なぁ」という繰り返しである。

個展の日にちが刻々と迫ってきている。あと2ヵ月半足らず。ほんとうは、岡本太郎賞への渾身の応募があり、それへの添付資料としても使いたいので、9月初旬までにはほぼほぼ完成させたい。そう考えると1月半。

時間がない。ここにきてようやくおんぼろのエンジンがかかってきた。昔はもっと時間に余裕をもって取り組める好青年だったはずなのだが、いまではうだつのあがらない、なんの誉もないおっさんである。

いかんせん人間というものは、歳をとると堕落してゆく一方のようである。若さとは愚かさでもあるが、しかし、若さというものは、ただあるだけですばらしい。

この説教臭さがもう十二分におっさんである。いや、昔から説教臭い性格だった気もする。どうでもいいか。

先の土日はけっこうはかどった。といっても、作業量は、両日合わせてもせいぜい10時間ほどだろうか。もっとできるはずなのだが、そんなことはわかっているのだが、どうにもだるくて仕方がない。

世間は夏期休暇の時期である。私も一応は世間の一サラリーマンであるので、そのおこぼれに預かることができる、らしい。7、8、9月の間で、5日間取得できるとのこと。それを、2分割までならOKとのこと。

まず、休暇を使って実家に帰るという選択肢はない。この五日間を、いかに自分を制作に最大限取り組ませることができるか、それだけである。

いや、ほんとうは、ちょっと旅行にでも行こうかなとか思ってる。でも、思ってるだけ。いま一番大事なのは、作品の制作。それ以上に大切なことはない。

なんて、口では言う。そして、本心も実際その通りである。しかし身体、行動がついていかない。サボってしまう。ぼうっとしてしまう。酒を飲むことばかり考えてしまう。

勝負の夏、しかし大嫌いな暑い夏、それでも大切な夏期休暇、その5日間をどのようなスケジュールで取得するか。それが最近のぼくのもっぱらの関心である。って、なんてつまらない、みみっちい人生だろう。

おれみたいなくだらない人間は死んだほうがいい。うんそうだ、死んだほうがいいんだ。死ーね、死ーね、死ーね。

ぼくは元気です。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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