表現欲というストレス
しばらくブログを書いていない。その間、何度も書こうとはしたのだが、どうして、筆が進まなかった。
別に書くことがないわけでも、書きたいことがないわけでもない。ただ、「書かねば」という内なる圧力が足らないのだ。
なぜだろかうかと考えて、最近は絵の方がすこぶる調子が良く、はかどっているからではないかと気がついた。
私には根源的な表現欲というものがある。あえて恥ずかしい言い方をすれば、生まれながらの芸術家というやつである。ともかく、それは確かに欲望であって、ゆえに満たされない時にはストレスになる。だから折に触れて解消してやらなければ蓄積し、下手をすれば爆発もする。
仮に私が一年、絵も文も、なんらの表現らしい表現を禁じられたとすれば、解放された後にはそれはもう猛烈な勢いで何かしらを吐き出さずにはいられないだろうと思う。
とはいえ、この表現欲というものは、決して特別なものではない。その方法こそ違えど、誰にもあるものだと思う。たとえば一週間、誰にも会わず外出もせず徹底的に何もしないでひとり家にこもって過ごしてみれば、それがわかる。あなたは必ず何かがしたくなる。それは読書かもしれず、買い物かもしれず、運動かもしれず、誰かに会いたくなるのかもしれない。
その何かが、あなたにとっての表現欲なのだと思う。その表現欲は、あるいは生命力とイコールのような気もする。完全に何もしたくなくなったその時は、必然的に死ぬ時なのだ。そう考えると、アメリカの心理学者ウィリアム・ジェームズの言葉「人間は自分のやるべき仕事を終えるまでは不死身である」(Man is immortal till his work is done.)というのは、なるほど至言である。
広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。
ご支援のお願い
もし当ブログになんらかの価値を感じていただけましたら、以下のいずれかの方法でご支援いただけますと幸いです。
Amazonギフト券で支援する
→送信先 info@tomonishintaku.com
ブログ一覧
-
ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」
2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。
-
英語日記ブログ「Really Diary」
2019年より開始。もともと英語の勉強のために始めたが、今ではすっかり純粋な日記。呆れるほど普通の内容なので、新宅に興味がない人は読んで一切おもしろくない。
-
音声ブログ「まだ、死んでない。」
2020年より開始。ロスのホームレスとのアートプロジェクトでYouTubeに動画をアップしたところ、知人にトークが面白いと言われたことをきっかけにスタート。その後、死ぬまで毎日更新することとし、コンテンツ自体を現代アートとして継続中。
-
読書記録
2011年より開始。過去十年以上、幅広いジャンルの書籍を年間100冊以上読んでおり、読書家であることをアピールするために記録している。各記事は、自分のための備忘録程度の薄い内容。WEB関連の読書は合同会社シンタクのブログで記録中。
- 前の記事
- ミサイルに言って聞かせる
- 次の記事
- 作家とギャラリーの取り分について