ほぼエッセイ、ときどき現代の美術とアート。

中年のあぶら

眼鏡が汚れている。拭くとしつこい感じで伸びる。ちょうど料理の油でもはねたような。

最近いつもこうだ。家から自転車で15分あまり、会社につくと決まって眼鏡が汚れている。

ロサンゼルスの空気は汚れていると聞く。確かに、しばしば霞がかったような日がある。いわゆるスモッグらしい。その中には、何がしかの油分も含まれているに違いない。

もし眼鏡がなければ眼球に付着していると思うと、ぞっとする。しかし、それでも鼻や口から取り込んでいることには変わりない。想像すると気分が悪い。

眼鏡を拭きながら、これは汚れではなく「汚染」と呼ぶべき類のものではないかと思う。いずれ地球は汚染され尽くし、人類は滅ぶ。

都会の病理というか、現代の病理といったほうがいい。こんな空気の中で、我々が生きていけるのはそう長くない。

アメリカ人は自転車なんか乗らないから、たった15分でこんな汚れがへばりつくことを知らないのだろう。

正直、最初は気のせいだと思った。いかに空気が汚れているからといって、ここまで眼鏡が汚れるわけはないだろうと。

あるいは最初から汚れていたのかもしれない。それで家を出る直前に眼鏡を拭いて出かけてみたりもした。だが、結果は同じだった。それは本当に毎日のことで、私はその汚染の事実を認めざるを得なかった。

数ヶ月が過ぎたころ、いつものように眼鏡を拭いていると、はたと気がついた。その汚れは外側ではなく、内側だということに。

もしかすると、原因は私自身かもしれない。とはいえ、鼻と眼鏡との距離は、普通に考えてもかなりある。油は、否、私の脂はそれほど飛ぶものだろうか。

私は怪しんだ。しかし、さすがに毎日のことで、ついに私はその現実に屈した。私の鼻は、脂を噴射している。

私は地球環境に安堵すると同時に、なんとも言えず情けなくなった。つと、鼻の横を塩水がつたったが、脂がそれをはじいてすぐに乾いた。

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