池田満寿夫は日本の美術を知っている

  2020/01/16

池田満寿夫「美の値段」を引用している日垣隆著「現代日本の問題集」から引用した文章。つまり孫引き。

現在日本には、絵を描き、展覧会や個展などで発表している人は、およそ十万人はいるだろう、と私は見ている。「美術年鑑」に名前の載っている画家はそのうち三万人、マーケットで多少とも値段がつき画商が扱っている画家はさらにその中の三百人ぐらい、そして本当に愛好家の間で人気があり流通しているのは五十人、と見てくると、十万人のうち「絵を描く」本業だけで食べていけるのはせいぜい百人いるかいないか、だろうと思われる。

引用元:現代日本の問題集(講談社現代新書)日垣 隆

で、池田さんはこうも書いている。

美術の世界でいえば、経済を握ったところが美術の中心になるのが常識だった。十六世紀のフィレンツェ、十七世紀のアムステルダム、十九世紀のパリ、二十世紀のニューヨーク。
ところが、現在の東京だけが例外なのだ。東京で発表しても、世界中には響かないのである。美術、音楽、ファッション等、世界中から東京市場へ殺到しているが、東京はあくまで買い手市場で、美術の発信地にはなっていない。[中略]
画商は数億円出してジャスパー・ジョーンズを買っても、日本の現代美術には数百万円も出そうとしない。マーケットのないところに優れた画家は育たないのである。

引用元:現代日本の問題集(講談社現代新書)日垣 隆

と、以上、一生懸命手打ちでポチポチ打ってみたが、なるほど、痛烈である。が、その一方、だからなんなのだというような気もする。毒を食らわば皿まで、とか思ったり思わなかったり。うーん。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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