溺れない酒

  2020/08/14

酒なんてものは、やらないに越したことはない。

酒は百薬の長なんてのは土用の丑と同じで平賀源内みたいなインテリが適当にでっち上げて愚民が乗っかって今日まで来ただけの話で、あれは身体に悪い。

一度でも酒を飲んだことがある人なら誰でも知っているはずだ。多かれ少なかれ身体がしびれることを。少なくとも日常、手足にわずかでもしびれを感じたら、何らかの病気を疑わなければならない。

それでも酒は社会の潤滑油だなんだと強弁して人は呑むのをやめないが、それこそまた別の病気、なんなら合併症である。

本当に酒が社会の潤滑油であるのなら、あなたは出勤前に一杯やるべきで、取引先に向かう前には二杯ひっかけるべきで、大事な商談の時には駆けつけ三杯を常識とすべきであるが、あなたはしっかり歯磨きをしてフリスクなんかもかじって抜かりない。

最近の若者はえらい。飲酒は生産性のない前時代的な悪習と考えて呑まないそうである。実に賢明だ。素晴らしい。日本の将来は絶望的に明るい。

ただ、酒というものは、好きで飲むものではない。子供はなぜ酒を呑まないのかと考えてみればわかる。法律云々の話ではなく、子供に酒は必要ないのである。

四六時中テンション高くどうでもいいあれこれに目を輝かせて関心を示し、「へー」とか「ほー」とか「なるほどですね」と、子供はシラフで言えるのである。大人であればかなり辛い、というか高度な処世術である。

親類縁者を見よ。病的な酒呑みはわかりやすく早死にしている。そもそも酒は飲んではいけないのだ。酒と朝寝は貧乏の近道、酒、人を飲む、とにかくは飲んだが最後、明日のことなどどうでもよくなるのである。

危ない。危なっかしくて見ていられない。気軽に飲み会だなんだと洒落込んで出かけて行ってしまう君のことが心配でならない。酔ってからでは遅いのだ。

しかし中には変わった人もいて、酔うのが好きだという人もいる。もっと、酒を呑まなければ生きている甲斐がないと放言する人さえいるから、人間わからないものだ。

ちなみに私は変わり者である。先は長くないだろう。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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