あなたを愛すのはあなた

  2020/08/19

最近よく思う。というか、最近自分の自慢話が多い。自慢というか、どうしてぼくはこんなに素晴らしい人間なんだろうかと、人に真顔で問いかける自分がいたりする。

しかしぼくがそういうことを言っても、なぜだか嫌味が無いと言われる。ふつう、「ぼくはわたしはこんなにがんばってるんでっせー!」「おれはあたしはこんなにすごいんやでー!」なんて物言いは鼻について犬も食わないに違いないのだが、なぜだかぼくがそう言うのはありらしい。微笑ましいというか、なんというか、謎。

人望はみじんも無いが、どうやらそのような特殊な人徳はあるらしい、ということが最近わかったこと。

それもこれも、母親はじめ家庭環境のおかげであると心から思う。愛情を存分に注がれると、このように育つのである。

それはともかく、最近、阿久悠の詩で、少々胸に染み入ったものがある。

夢は砕けて 夢と知り

愛は破れて 愛と知り

時は流れて 時と知り

友は別れて 友と知り

まさに真理。人間ってやつは馬鹿だよなあとつくづく思う。

なんですべて失ってからしか気づけないのだろう。

もっとほら、想像力を働かせて、曲がりなりにも脳みそ入ってんだろ? だったら、その人やものやことが無くなったらどうなるかなんて、少しくらいはわからないものだろうか。

ちょっと話は変わるが、ぼくから言わせれば震災後に絆だなんだ人間関係のありがたみ云々いろいろ気づいたというのは馬鹿げた話だと思っている。おまえらどんだけ何にも考えずにぼけーっと生きてたんだとしか言いようがない。

そういえばいつか読んだ記事で、同じような気持ちになったのがあったなと思って調べてみたら、見つけた。それは【ナースが聞いた「死ぬ前に語られる後悔」トップ5】。

1. 「自分自身に忠実に生きれば良かった」

2. 「あんなに一生懸命働かなくても良かった」

3. 「もっと自分の気持ちを表す勇気を持てば良かった」

4. 「友人関係を続けていれば良かった」

5. 「自分をもっと幸せにしてあげればよかった」

http://youpouch.com/2012/02/06/53534/より引用)

しかし、なんだろうね、人間てやつは馬鹿すぎる。いや、馬鹿ばっかりだ。ナルシストのおれから言わせりゃね、馬鹿を通り越して死んだ方がいいよ。いや、すでに死んでいったのか。

ぼくは、人生で一番重要なことはただひとつだと思う。とにかくはいつでも可能な限り死のことを考えること。自分は絶対にいつか死ぬ。それは明日かもしれないし十年後かもしれない。しかしとにかくは絶対に死ぬ。

それさえよくよく考えていたならば、くだらない人間と我慢して世間話をだらだらとするだろうか? 不本意なことをいつまでも続けるだろうか? 苦しい愛想笑いで表面を取り繕うだろうか? 明日やろうとか、また今度なんて、思うだろうか?

自分が死ぬということを考えない人間が多すぎるのだ。言っとくけどね、おまえは死ぬよ。絶対に死ぬよ。おれも死ぬけどね。

だったら生きてる間くらいは死ぬ気でがんばれよ、って話。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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