人が死ぬのは愛よりお金。

  2015/07/03

自分のせいではなく人(法人)のせいでお金に困っている。

詳細は書けないが、こんな経験は生まれて初めてである。ぼくは滅多に怒らない性格だけれども——というかただ単にほとんどのことに無関心なだけ——確かにお金ほど人を神経過敏にし、苛立たせ、疲弊させるものはないと思う。

怒っている。苛立っている。まったく笑えないし、洒落にも冗談にもクソにもならない。

人間は、色恋よりもよほど経済的な問題で自殺するという。自殺するほど追い込まれているわけではないが、大なり小なり、お金のことを考えるというのはなんともいえず嫌なものである。

もちろん生きるということはなにかと金がかかるものだ。しかし、お金のこと、それも工面のことを考えるのは、どうにも無益で苦々しく、願わくば別のことに脳みそを使いたいとつくづく思う。まったく頭が痛い。

金の切れ目が縁の切れ目とはよくいったもので、金の話がこじれれば、どんな良好な関係もたちまちのうちに腐り果てる。

借金で首が回らないなど、自分に原因や非があるなら納得もできようし、解決の努力もできよう。しかし今回の件に限っては、完全に天災の類である。

だからして、これもまた運命と受け入れるしかない。

というわけで、ここは良寛の言葉を思い出して自らの慰めとしたい。

1828年、現在の新潟県三条市を震源とする大地震が起こった。三条の町は全滅し、廃虚と化した。そんな折に、被災者の一人であった良寛はこんな言葉を残している。

「災難にあう時節には災難にあうがよく候。死ぬ時節には死ぬがよく候。これはこれ災難を逃るゝ妙法にて候」

つまり、すべてをただただ受け入れること。それはまあわかるのだが、ちょっとやそっとではこの腹の虫は収まりそうもない。とりあえずもう2、3回広島にリトルボーイを落としてやりたい気分である。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

ご支援のお願い

もし当ブログになんらかの価値を感じていただけましたら、以下のいずれかの方法でご支援いただけますと幸いです。

Amazonギフト券で支援する
→送信先 info@tomonishintaku.com

Amazonほしい物リストで支援する

PayPalで支援する(手数料の関係で300円~)

     

ブログ一覧

  • ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」

    2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。

  • 英語日記ブログ「Really Diary」

    2019年より開始。もともと英語の勉強のために始めたが、今ではすっかり純粋な日記。呆れるほど普通の内容なので、新宅に興味がない人は読んで一切おもしろくない。

  • 音声ブログ「まだ、死んでない。」

    2020年より開始。ロスのホームレスとのアートプロジェクトでYouTubeに動画をアップしたところ、知人にトークが面白いと言われたことをきっかけにスタート。その後、死ぬまで毎日更新することとし、コンテンツ自体を現代アートとして継続中。

  • 読書記録

    2011年より開始。過去十年以上、幅広いジャンルの書籍を年間100冊以上読んでおり、読書家であることをアピールするために記録している。各記事は、自分のための備忘録程度の薄い内容。WEB関連の読書は合同会社シンタクのブログで記録中。

前の記事
再・東京生活
次の記事
秋々と冬

  関連記事

なぜか、どこかに行ってしまった。【日光・鬼怒川温泉篇】

2015/11/11   エッセイ, 日常

先週末、日光・鬼怒川温泉に行ってきた。 とにもかくにも、まずは謝罪しなければなる ...

絵描いて映画みて走って

2012/07/09   エッセイ, 日常

それらしい部屋になってきた。 左下のは80号のキャンバス。100号3枚のつもりが ...

次はァ原爆ドーム前ェ、原爆ドーム前ェ

2013/02/21   エッセイ, 日常

Next stop is Atomic Bomb Dome 昨日もツイッターでつ ...

夏とブルーとプール

2012/07/19   エッセイ, 日常

家の近くの保育所、いや託児所かな、みたいなところに、プールが出されていた。 今年 ...

私の書く理由(ブログを書き始めて10年あまり)

人は折に触れて、自分が何故それをしているのか理由を問い直したくなるものらしい。そ ...