豪華客船はナンパ船と呼ばれているという

  2017/08/22

昨日はこのような船でこのような料理を飲み食いしてきました。

豪華客船というほどではなかったが、宮島のフェリーよりはご立派で、そしてなにやらこの船はナンパが多いらしくナンパ船と呼ばれていたりするらしかった。クラスの人の話によると、会社の同僚がこの船で出会って付き合っているんだとかなんとか。まあ、ナンパ船でも難破船でもいいのだが、いちおうは納涼船という建前で出航。

なんだかお通夜の親戚の集まりのような雰囲気のお部屋であった。やけに白々しい蛍光灯が、何か心の空白を表現しているようで、どうにもお通夜っぽくて、やはり飲む空間は電球色の、柔らかいオレンジ色でなければと思う。

ビール、ワイン、ワイン、ビールビールビールビールを飲んだ。ぼくは確かに船に乗っているらしかったが、外の景色を見る気も興味もなく、延々と飲み食いをしていたので、実際のところ地面が揺れているだけの飲み会だったような気がしなくもない。

そんなふうだったのに、2時間ほど揺られて帰港するころには、なんだか完全に夏が終わったなあという感慨がこみ上げてきた。

そうだよな、こうしてすべてが過ぎていき、すべて終わって行くんだよなと、感傷的な気持ちにもなっていた。

下船すると、こんなにもたくさんの人が乗っていたのかという混雑だった。ナンパ船と呼ばれているだけあって、満員電車などの人たちとは違う、何かやんわりと抑圧された欲望っぽい熱気があたりに満ち満ちているようだった。

山手線、小田急線と電車を乗り継ぐにつれ、さきほどまであった特殊な熱気は、いつもの平日、それも週の真ん中で弛緩した、けだるい空気とすり替っていた。

家についたらすぐに、いや、シャワーを浴びて炊飯器に一合ばかりセットして眠りについた。

目覚めると軽い二日酔いで、しかし窓を開けるとちょっと驚くほどひんやりとしていて、昨日のことが、夏のある日が、とても遠いいつかのことのように思われた。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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