ふつうではなくて、やさしい人
2015/07/03
昨日の18時を持って展示は終了いたしました。来てくださった方々、どうもありがとうございました。
展示が終わって、ひとり絵の梱包をしていると、手伝いましょうかと、日曜日に知り合った出展者に声をかけられた。
とっさに大丈夫ですと断ったが、倒れそうに不安定な絵をさっと持ってくれて、それでなしくずしに手伝ってくれることになった。100号の梱包は共同作業となった。
これは周知の事実であるのだが、ぼくは梱包作業というものが大嫌いで、しかも恐ろしく雑なのである。それは誰がどう見ても明らかなほどである。それはもはやぼくの変えようのない性質だとあきらめているのだが、しかし、手伝ってくださった方にもまた、しっかりと閉口されてしまった。
絵は繊細なのに、梱包はめちゃくちゃですねと、真顔で言われた。ああ、はい、ええ、まあ、とぼくは赤面せざるを得なかった。
言いのがれに、梱包とかほんとだめなんですよ、ぼく。とか言って、それから、梱包作業の上手な奥さんをもらうことにします、なんて言ってお茶を濁すと、ほんとにそうしたほうがいいですよと、やはり真顔で言われた。
梱包って、見られてますよ。その作家が作品をどう扱ってるかっていう意味でと、アドバイスまでしていただいて、ぼくはただひたすらに恐縮して赤面しきりであった。
そうしてなんとか梱包が終わり、実家への着払いの荷札を付けて、搬出作業は完了となった。
手伝ってくださった方は、じゃあ、おつかれさまでしたと言って、さらりと帰っていった。
次からは、梱包作業は業者に任せよう。少々お金がかかっても、そうしよう。
とてもやさしいその人を、ぼくは反省と決意でもって見送ったのであった。
広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。
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