もはや秋とは呼べなくて

  2015/07/03

晩秋の おしりにやさし 便座カバー

どうでもいい句を読んでしまったが、この土日でずいぶんと寒くなった。寒くなると便座が冷たいので、便座カバーをつけた今日の朝。わざわざ画像を付ける必要があるのかという話だが、しかし、こういうどうでもいい画像をこそご丁寧に提示するのがこのわたくしの性格である。

土日は適当に東京デザイナーズウィーク内のヤングアーティストジャパンの会場でうろうろしておりました。なんだか社交性が乏しい気分だったので、見てくれている人にこんにちわの一言もかけずに知らんぷりしてました。そのくせ人の話を盗み聴きしてました。ほんとうに小癪な野郎だと思います。

なんか、ほとんどの人は牛丼だと気づかないようで、コンセプトを読んで初めて牛丼だと気づき、あー、卵だコールスローだお新香だしらたきだ、となるようでした。ぎゅ、牛丼、げらげらげら。これ牛丼!?うつくしー!なんてコメントを盗み聴きしました。

でも、なんでかよくわからないが、たいしてうれしくもなく、あーそう、くらいにしか思えなかった。単に傲慢なだけかもしれないが、ふーん、としか思えなくてごめん。しかしそんな中でも一番うれしかったのは「現代アートですね」というコメント。まあ、確かに古典でも近代でもなく現代ではあるんだろう。

とりあえず、この描き方でいいのかが疑問になってきた。色がきれいなんてコメントに納得していていいものか。同じ出展者で知り合った人に作品を紹介すると「女の子の作家だと思った。色使いが」なんて言われて、あーなるほどなー、うれしいようなうれしくないような、やはりどうでもいいような、とにかくはもっと牛丼らしく描いたほうがいいのではないか、とか、とか、とか、いろいろ思った。

それはともかく、昨日の日曜日は意外なほど出展者同士での交流があって、作品を見せ合っていろいろとウンチクを垂れてみたりした。

雷で作品を作っているという人がいて(自然の本当の雷をキャンバス的な平面に科学的に誘雷して落とすそうである。で、その雷が落ちた焦げ跡的な作品)、ぼくは彼のポートフォリオをめくりながら「雷と言えば、ウォルター・デ・マリアのライトニングフィールドって作品がありますよね」と言うと、作家曰く「大いに影響受けてます。でも、ウォルター・デ・マリアはインスタレーション的な作品なので云々」と、それらしい会話が展開されぼくの自尊心は大いに喜んだ。そしてまたある作家の作品を見て「サイ・トゥオンブリに通じるものがありますね」と話すと、「サイ・トゥオンブリは大好きですね」と、やはりこれまたそれらしい会話が展開されて、自尊心はうなぎ昇りであった。

自尊心はともかく、ああ、おれってなんだかんだやっぱり一般的な人に比べたら芸術には詳しいと言って差し支えないのだろうなと、あらためて思った。

たとえば料理に対してはなんら一家言もなく、産地だとか素材だとか、なんとか料理のエッセンスがきいてますね、このワインは云々的な会話はまったくもって不可能であり、そもそもそんな会話をちっともしたいとは思わないことを考えると、やはりぼくは曲がりなりにも芸術方面をホームグラウンドとして生きているのだろう。

まあ、なんだかんだ、ひさしぶりに展示ができてよかった、のかな、たぶん。

あ、末筆ながら、学校のクラスメイトをはじめ、わざわざ来てくださった方々、どうもありがとうございました。と同時に完全に料理に飽きてしまっていてすいません。飽きっぽいのは生まれつきなのでご容赦くださいますよう。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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