ぼくが!おれが!わたしが!わたくしが!とにかくは自分が!

  2015/07/03

ひさしぶりに自画像を公開する。それにしても自画像のクオリティの浮き沈みがすごい。うまく描けるときと、描けないときの差が激しい。

ときにまったく素人の中学生レベル、ときに美大受験目指して奮闘中の高校生。しかしまともな美大に受かるようなレベルにはいつまで経っても到達しないし、できない。できそうもない。

しかし人間的には着実に成長している気がする。部分的には劣化しまくっているところもあるが、主要な部分は進化していると思う。

いや、今日は自慢話というか、わたくしのマル秘善行話をするのである。マル秘といっても、ぼくには黙って善行を行うような徳は備わっていない。が、善行をしてネタにしてやろう、あわよくばその善行の話によりさらなる利益を得てやろうという俗物根性だけは腐るほどある。

さて、善行の話である。しつこいがマル秘である。

ぼくは仕事とは別に、途絶えそうなほどに細々とではあるが、デザインの、と言ってもそんなに格好のいいものではないが、まあデザインらしきものの個人事業をやっている。それで最近、ひさしぶりに注文をいただいたのであるが、つつがなく無事に仕事を終えることができ、お客様にも喜んでいただけた。そうして対価をいただいたのであった。

話はそこからである。ぼくは、そのお金を何に使おうかと考えた。まあ普通に、考える。欲しいもの、したいこと、その他いろいろな欲望を、考える。

昔だったら、ぼくの考え方というのは今日のタイトルそのものずばりなのである。すなわち「ぼくが!おれが!わたしが!わたくしが!とにかくは自分が!」。それはもう、百万回絶叫しても、声帯がちぎれてもまだ叫ぶかというほどだったのである。

しかし、ぼくは大人になったらしかった(それにしても、善的なことを行ったりするとしたり顔で言われる「大人になった」という表現はどうも好きになれない。何が大人だバカ野郎。誰だって食っちゃ寝してりゃ勝手に大人になるんだっつーのバカ野郎。むしろ子供になりたいわバカ野郎。コマネチっ)。

とにかくは大人になったぼくは、家族にお歳暮的なものを送ることにしたのであった。

そこで何を送るかなんて考えるまでもない。我が一族は酒である。なにはともあれ酒さえあれば楽しくやれる家系なのである。というわけでぼくは、登戸でひいきにしている個人経営の酒屋へ向かったのであった。

実家と、姉夫婦と、それぞれに合うように選んだ。ワイン、地ビール、焼酎、梅酒、日本酒等々、総額1万円超のお買い物であった。いやはや、実際にかかった費用を生々しく書いてしまうところがぼくという人間である。

どうだ、いいことをしただろう。どうだ、すばらしい人間だろう。というのはさておき、最近は素直にそういうことができるようになった。

たとえば、今回の一万円を自分のためだけに使ったとしよう。酒を飲む、モノを買う、その他いろいろ、とにかくは自分のためだけに使ったとすると、それはどう考えたって自分ひとりしか喜べないのだ。

しかし、それを人に使えば、今回で言えば少なくとも実家と姉夫婦で合わせて8人くらいは喜べるではないか。お酒をもらったから飲もうなんてことになって人が集まれば、さらに多くの人が喜べるではないか。

もちろん、いささか偽善的に聞こえるし、まさに偽善なのだが、しかし、自分ひとりよりみんなが喜んだほうがいいというのはほんとうだと思うし、それほど濁ってない純度の本心だったりする。そういう気持ち、喜びを共有する、共有したいというのは、実家に帰ろうと思う理由のひとつだったりする。まあ、喜びの数だけ、わずらわしさや悲しみも避けがたく存在するのだろうけれども。

とにかくは、自分ひとりの胃袋なんてたかが知れている。

そう思うようになった程度には、歳をとったらしい年の暮れである。

きょうのしごと
5時45分起き、絵の制作30分(最低単位は15分にしました。0分よりも15分のほうがいいに決まってる!)

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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