透明人間と夏休み

  2017/08/22

学校が夏休みになった。ので、家に帰り着く時間は22時半ごろから一気に19時前である。

早い帰宅だと、なんていろんなことができるのであろうかと、自分で驚いてしまうぞなもしというのが本日の画像。

昨日は100号のパネルにケント紙を水張りして(画像1)、それからランニングに行き、そして定番になりつつあるツタヤにて借りていた「透明人間」という、古典的名作らしい映画を見た(画像2。映画見ながら食べたおつまみ)。

あー、そうか、学校に行かなければこんなにも時間に余裕があったのかそうかそうかというのはさておき、透明人間。まったく期待していなかったのだが、意外なほどおもしろかった。

しかし、あの映画は"作品的"には成功しているが、どうも"論理的"には破綻しているような気がする。なんか、とてつもなくアートっぽい問題をはらんでいるような気がした。

何がどうって、透明人間だから、裸になれば透明で見えないわけですよ。しかしもちろん、服を着れば、その服は見えるのである。

そういう"仕組み"で問題ないのだが、ちょいちょい「服を着ているにもかかわらず透明になっている」場面が登場するのである。明らかに服着とるやろ!という場面なのに、人に見えてなくて、ヘイタクシーとか言って手をあげた他人の拳でアッパーカットを食らったりしている。

その透明か否かの扱い方がとてつもなく恣意的で、なんか監督か作家だかの、「ここは服着てるけど、なんとなく透明ってことでいいや。なんかその方がまとまる気がするし」的な適当な感覚的な処理、"深く考えずに流した"感じがものすごくするのである。

で、それがなぜにアート的なのかと言えば、アートでもしばしばそういう処理が行われるからである。一見、ある規則に則った一貫性を感じるのだが、しかしよく考えると、そのコンセプトでその表現方法はおかしいやろ、というような。

うーん。具体例がうまく出てこないのだが、そういうことがあるったらあるのである。

うーん。適当に話を作ると、例えば廃棄物(タイヤとか傘とか)を素材に作品を作っていたとする。しかしそこへ、使用済みのナプキンとかを使うとすると、どうですか? たしかにそれも立派な「廃棄物」ではあるけれど、それでは「性」とか「欲望」とか、そういう「別の意味」が否応なく出てきちゃうでしょう? だからそれは作品や作家の一貫性を考えるとNGなのである。

うーん。たとえがあまりうまくもない気がするのだが、とにかくは透明人間の透明の処理の仕方、何か、あ〜、そうやって適当に処理しちゃう気持ちすげえわかると、そういう次元でやたらと共感してしまったのである。

ちなみに終わり方にはびっくりしてしまった。

透明人間は、透明になってもヒロインと恋愛を繰り広げるのだが(名付けてスケルトンラブ、またはスケルトンセックス)、結局「透明のまま」で終わってしまうのである。しかもヒロインは透明の"ご主人様"と結ばれて、しかもご懐妊されてとても幸福そうなのである(子供は生まれずに、大きなお腹を示すだけで終わる。おそらく白魚かクリオネのような子供が生まれるのでしょう)。

まじでわけわかんねー、透明は結局治んないのかよー、そんな終わり方ってありかよー、 とか思ったけど、まあいいやと思って寝た。うん、よく寝た。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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