間違えていた鳥の子紙の裏表
2017/08/22
尼崎の変死事件との類似性から、北九州監禁殺人事件について触れられているコラムを目にし、なんとなく調べ始めたら死ぬほど読み込んでしまった。
あまりにも異常な事件で報道規制がかけられていたらしく、詳しくは知らなかったが、知れば知るほど頭痛や吐き気をもよおすほどの事件である。見事に頭がぐちゃぐちゃになってしまった。
一家をマインドコントロールし、支配下に置き、限界まで金を絞り取り、利用価値が無くなれば家族同士で殺し合わせた。猟奇的などという生やさしい言葉ではとても言い表せない。凄惨すぎる、とんでもない事件である。
事件のほんの一部だが、10歳の小学生の女の子に、実父の死体処理——切断する、煮る、ミキサーにかける、肉汁を公衆便所に捨てに行かせる——をさせたうえに、わずか5歳の弟をその手で絞め殺させているのである(のちにその女の子も死亡)。そのような最低で最悪の殺され方で死んでいった者たちは、そして犯人は、あの世での居場所をいったいどこに求めるのだろうかと思う。天国とか地獄とか、そんな単純な場所ではないような気がする。
まあ、確かにこんな内容を夜でも深夜でもテレビで流せるはずはないとは思う。
尼崎の事件についても調べたが、ただただひたすらに戦慄する。どうしてこんな事件が起きてしまうのか。夫婦そろって全裸で親族に借金を乞いに行くなど異常以外の何物でもない。近隣住民も、全裸で街中を走らされているような場面を目撃しているのである。そのような異常は十分に外部に察知できる状況にあったのに、それに何度も警察に訴えがあったにも関わらず「事件ではない」とつっぱね対応せず、さらには初動捜査の遅れで監禁小屋などの証拠隠滅をはかられていたりと、いったい警察は何をやっていたのかと、並々ならぬ憤りを感じざるをえない。
とにかくはぼくの頭の中はいま、カオスである。そして亡くなった方々には申し訳ないが(いくら人に興味がなく、誰が死のうが生きようがどうでもいいのが基本のぼくでも、あの殺され方はさすがに同情と憐憫で胸が詰まる)俗物の残酷な好奇心でいっぱいである。勢い、そのままアマゾンで「消された一家—北九州・連続監禁殺人事件」という本を購入してしまった。もっと、もっと詳細が知りたい。読んでいると冗談抜きで頭痛がしてくるのだが、どうしても知りたい。
と、ここまで延々と重い話を書き連ねてきたくせに、画像がのん気すぎてなお申し訳ない。
今朝は水張りをした。ケント紙あらためリベンジ鳥の子紙である。
張る前にふと裏表が気になった。ふつう、画用紙などはざらついているほうが表である。木炭紙などは顕著で、それは木炭の粉がきちんと紙に載るように凹凸がつけられているのである。
その流れで鳥の子紙も同じだろうと思って、何の疑問もなくざらついている方を表にしていた。しかし、調べてみると鳥の子紙に関してはなめらかな方が表だとあった。
いままでいったいおれは何をやってきたのかと、しばし呆然とした。練りゴムでちょっとこすれば毛羽立つような弱い紙だと思っていたのだが、それはそもそも裏だったのだ。
なんか、ようやくスタート地点に立った気がする。
iPS細胞でノーベル賞を取った山中さんが、大切なのは「ビジョンとワークハード」と言っていた。日本人はがむしゃらにがんばるワークハードは得意だが、ビジョンを描くのはうまくない、とも。
ぼくも、確かにビジョンは曖昧である。とりあえず、10年後の40歳のときには広島市の現代美術館で個展、いや、グループ展でもよいので、とにかくはキュレーターに選ばれて展示をする、というビジョンでもって一生懸命がんばろうと、さっき思いついた。
きょうのしごと:4時半起きS10パネル水張り+ランニング
広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。
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