危機感と行動

  2017/08/22

今日でとうとう7月も終わりである。理想的な目標としては、あと一か月で太郎賞への応募作品資料とともに、個展への出品作品をほぼほぼ仕上げねばならないのだが、まったく完成が見えていない。

10月なんてまだまだ先のことだと思っていたが、8月ともなると、交通費だとか搬送費だとかの具体的なもろもろの懸案や雑務とともに迫りくる時期である。

危機感が高まる。すると行動も違ってくる。とにかくは絵を描くのだ、いや描かねばならぬのだという切迫した気持ちになる。だから延々と描く。わずかな時間を惜しんで、描く、描く、描く。

馬鹿みたいにでかいパネルを作ってしまい(しかも分割できない)、搬送費が死ぬほど心配なのだが、しかし、とにかくは作品を完成させねばならぬ。ならぬ。ならぬのだ。

危機感からくる行動はやる気ではない。やる気なんていうものは、実に軽薄なものだ。人にちょっと馬鹿にされようものならたちまち削がれてしまうような――よくいう、ああもうやる気無くなったというやつである――非力で儚いものである。

しかし、危機感からくる行動は違う。爆発といおうか、底力といおうか、とにかくは圧倒的な力を持っているのである。

あるいは奴隷制を思い浮かべてもいいかもしれない。締切という名の、目には見えないが傍若無人な絶対者が、働け働け怠けるなと、びゅんびゅん鞭をふるうのである。

バシッ、ビシッ。だからひいひい言いながら、というか、まだ風邪をひいているのでごほごほ咳込みながらも、描き続けるのである。

まあ、この非情な鞭さばきこそが、ぼくを大いなる成功へと導いてくれるのであろう。たぶん。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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