とうの昔に人間の底は見えている

  2017/08/22

画像は昨日の日本料理の授業、K校長……というかぼくは名前含め勝手にKKKと呼んでいるのだが(胸の内で)、そのKKKによる鯵づくし。って、KKKによる鯵づくしって、なんか危険な臭いがぷんぷんする。KKKって、みなさん知ってますか?ほら、あの、アメリカあたりで白装束かぶって活動している白人至上主義の組織、あれです。クークラックスクラン、というのでKKKなのであーる。どうだ、知らない人は勉強になっただろう。

それはともかく、メニューはアジのつみれやら鯵の大葉はさみ焼きやら、やら、とか。とにかくは基本である鯵をちゃんとさばけるようになったらサバでも鯛でもさばける、健康で豊かな食事は一汁三菜が基本であるということを耳がタコになるほど教えていただいた。というか、どうもKKKの話は授業というよりも説法という感じがする。やはりKKKだからかもしれない、って、それはちょっと語弊がありすぎるのでKKKはKKKではないということを、ここにきちんと断っておく。しかしKKKがKKKではないということを証明する方法を、ぼくは知らない。そしてまた、KKKがKKKである、ということを証明する方法も、ぼくは知らない。つまり。KKKが何者であるか、ぼくは知らない。

あ、それと微力ながら学校の宣伝を。なんか一般の人向けに夜の時間帯(18:30-19:30)に不定期で、校長先生様が料理の授業を開講しているそうなので、興味のある方はぜひどうぞ。参加費は2,000円とお手頃だと思います、よ、たぶん。また、受講すればぼくの気持ちに共感していただけるのではなかろうかと。というか、もしこのブログをきっかけに受講したからといってぼくに何かしらのマージンが発生するわけでは一切ないので、もしも受けてよかったなあとか思った方は直接ぼくに飲食金品その他もろもろをください。詳細は以下URLよりどうぞ。

http://www.shincho.ac.jp/news/#1335845001

で、ここまでが前置き。今読んでいる本「世界服飾史/深井 晃子 他、著者多数/美術出版社」が、なかなか内容が固くて読み進めるのが大変なのだが、って基本的に固い本ばっかり読んでいるのでが、非常に興味深いのでご紹介したいと思う。

まず、よく考えたらそうだよねという事実を知った。13世紀あたりにボタンが発明されるまでは、服のそでや前開きは「着衣のたびに糸で縫っていた」ということ。そのため、糸と針を入れておくキンチャクのようなものが必需品だったそうである。

これはナルホドナルホドというような軽いレベルではない。ボタン発明以前と以降では、まったく180度生活が変わってしまったと言っても過言ではない。だって、服を脱がせる(いろんな意味で)ってのは、いったいどういう行為であったのか?ハァハァ言いながら今で言うお裁縫をしていたのか?ハァハァ、ナニコレ、玉止めが固いお、ほどけないお、ハァハァ、ハァハァやってたんですか?まあ、実際やってたんだろう。そして遅刻しそうなとき服をはおるだけで家を飛び出したとき、まさか駆け足で袖や前開きの裁縫をやっていたのか?朝のラッシュ時など、多くの人が針と糸を持ってわっしょいわっしょい……。想像するだけでこえーよ。

そしてまた時は流れて、フランス革命直前。ロココ文化が熟しすぎて腐りはじめたころ、髪を結い上げるのが流行っていたらしいのだが、その結い方が半端ではないのである。今のキャバクラ嬢の盛り髪?など目ではなく、頭部全体をキャンバスに見立てて、そして構図などを考え、髪はゆうに5-60cmは盛り上げ、そこに帆船の模型を載せたり、ガーデニングのごとく森や川を作ってみたり、真珠など宝石をゴテゴテにぶら下げてみたりと、とにかくは頭が半端なくでかい。デコ電でもデコデコデコリンでもなくデコレーションここに極まれりなのであって、黒柳徹子もはだしの盛りっぷりなのである。

で、そんな髪型であるから、よほどの貴族でなければそれを毎日結い直すことなどできないので、1〜2週間はそのままで、つまり髪を洗わず、とてつもなく不衛生なのであった。そんなだから、このころの皮肉として、当然のように発生する"しらみ"を「彼女の"親衛隊"が……」などと表現している文献もあり、とにかくはとんでもなく汚い。少なくともぼくは近寄りたくない。

現代的感覚で言えばおぞましいほどのその汚れを隠すために、このころのフランス貴族は「髪粉(かみこ)」というものを常につけていた。これは主に小麦粉が主体のものであって、当前のように真っ白なのである。しかしそれを毎日せっせと、そのデコ頭にまんべんなくふりかけていた(顔にはかからないように、髪粉をかけられる人はメガホン状の筒、というか毒ガスマスクにそっくりなものを顔に当ててガードしていた)。

たいていの人はバカ殿か何かで小麦粉を頭にかぶったところを見たことがあると思うのだが、脚色なしでこの頃はみんながみんなバカ殿をやっていた。この時代のフランス貴族の頭が総じて"白っぽい"のはこのためなのである(確かにシラミは白いので、髪粉はこれをてきめんにごまかしてくれたのだろう)。

パンも不足していた時代に、このバカ貴族ども、もしくはバカ殿どもは、毎日オホホホホ、ジュテーム、マダム、モム、マム、モモモモモモモモモフモフモフとかやりながら色恋にせいをだし、しらみと戦いながら髪粉、イコール小麦粉を頭にふりかけまくっていた。

当然のごとくこの髪粉なるものはたびたび批判の対象になっていたらしいのだが、そういう「ふつうに考えておかしいやろ、即刻やめなさい」というような話、現代でもしょっちゅう、ほんと毎日のように耳にしないだろうか。

なんか思うんだけど、人間というものは、今も、昔も、ただの人間でしかないんだよなあ。みつを。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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