一日と一日と一日

  2015/07/03

最近、と言ってもここ2、3日の話でしかないが、一日というものを意識するようになった。

有り体に言えば、一日という二度とは無い限られた時間を、大切にするようになった。で、昨日と今日は本当にそっくりなんだけど、でも、昨日とは絶対に違う今日なんだよなあと思う。というより、考える。

昨日は苦もなく4時半に起きれたが、今日は眠気と激しく戦ったすえの5時半起きであった。両日とも、前夜に飲んだ酒量としては、160ml缶のアサヒスーパードライに日本酒を二合と同量。

もちろん食した肴は異なるが、体調というのは不思議なものだと思う。天候や風向きとか湿度とか温度とか、そういうことも大いに関係があるのだろう。たぶん。

とにかくは私という人間がいて、自分ではコントロールできない環境があって、そして体調があって気分があって、私の一日が進んでゆく。

昨日と今日とはあまりにも似ていて、似すぎていて、だから、明日も明後日も明々後日も、一昨日のような昨日のような今日のような一日が存在するような気がしてしまう。それこそ無限に、永遠に、似たような日々が淡々と繰り返されていくような気が、漠然とする。

そんなわけはないことは百も承知なのだが、どうにもそんな”気がする”という愚かしい妄想を、追い払うことができない。

それでも、時間は確かに流れている。どんなに崇高な行為を重ねても、泣いてもわめいても、時間の流れの中で勝手にいろいろなことが起こる。まあ、ぼくは何かにつけてすぐに人の死を考えるのだけれど、たとえば、そう遠くない未来、明日とか明後日だとかを何の気なしにぼんやり重ね続けた未来のある時点において、母方の祖母が死に、父方の祖母が死に、それから父が死んで、母が死ぬ。ということが、確実に起こる。

そんなときにだけ、いつもより深く思う。昨日は話ができたけど、今日はもうできない。昨日は生きていたけれど、今日はもう死んでいる。ちくしょう、昨日と今日とは、ああもう、まったく、天と地どころではなく、どうしようもなく違うんだよなあ、と。

だからと言って、何をどうしてどう過ごせばいいというわけでもないし、それこそ正解などない。ただ、ぼくという人間が在って、今日という日が在って、それが消滅する方向に進み続けているという現実の中で、でも、少なくともいまこの瞬間においては、まだぼくは在って、まだ消滅してなくて、まだ今日が在って、まだ何もかもがあるという現実が在る、という、世界。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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