呆けのとき
2017/08/22
“人間が馴れることのできぬ環境というものはない。”
トルストイ
まあ、それはそうだろう。なんか、いろいろなことに慣れてしまったと思う。
歳を重ねると、興奮とか感動とか、そういうのが呆れるほどに減じてゆく。
見るもの聞くもののほとんどはどうでもよく、ふうん、で一蹴することができてしまう。
ところで、昨夜はひさしぶりに雨が降った。突然の雨だったので、傘を持っている人は少なかった。それで、多くの人は濡れながら歩いていた。
ぼくはいつでも折り畳み傘を携行しているので、すぐにそれを差した。
だから、濡れなかった。
だから、なんだ。
閑話休題。
「家族喰い」という本を読んだ。尼崎連続変死事件についてのノンフィクションの本である。
悲惨、壮絶さはわかるのだが、どうも、いまひとつだった。
この事件との関連でよく取り上げられる、北九州監禁殺人事件のノンフィクションの本もすでに読んでいるが、こちらはほんとうにすごかった。
とてつもないインパクト。本を読んで、つまり文字を追って、頭痛および吐き気を覚えたのは初めてだった。
悪趣味なぼくは、ぜひともまたそんな本をまた読みたいと思っていた。また、もう一度、あの常軌を逸した感覚が味わいたいと思っていた。
しかし、いまひとつで、残念だった。
だから、どうした。
閑話休題。
昨夜の冷たい雨とは打って変わって、今日は、青空が広がっている。
だから、なんだというんだ。
広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。
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