その日本語、ちょっと違うんじゃないですか

  2015/07/03

ぶる、ぶる、ぶる。がた、がた、がた。

もう、丸々3日も酒を飲んでいない。新記録である。

今日も3時に起きた。がんばって、絵を描いた。まだ完成は見えないが、クオリティは確実に上がってきている、と思う。やる気さえ出せば、きっといい絵が描けるんだ。やる気さえ出せば、出せれば。

閑話休題。

今日は雨。ひさしぶりの雨。

なので、自転車で国立駅ではなく、徒歩で谷保駅から出勤することにした。

ひさしぶりの南武線の、谷保駅。あいかわらず工事中のアナウンスを”人力”、つまり、”マンパワー”でやっていた。

拡声器で、「工事のため一部階段が狭くなっており、ご迷惑をおかけいたすところでございます」、だって。

”いたすところでございます”って、日本語としてどうなのか。ドカチン、土木作業員、つまるところ肉体労働者はバカばっかりなのか、どうか。

立川から中央線に乗り換える。ホームから人が転落したとかで、30分ほど遅延していた。まあ、それはともかく。

電車内のアナウンス。年配とおぼしき、少なくともぼくよりは年上の男性の声。

「本日は雨のため、お足下がすべりがちになっております。ご通行には……」

は? すべり”がち”? すべり”やすい”と同義として使っているのだろうが、いやいや、全然違うだろう。

揚げ足を取ってこき下ろすべく、例文をいくつか挙げてみよう。

すべりやすい場所で、子供が走っている。お母さんが注意する。

○「すべりやすいから気を付けて」
×「すべりがちだから気を付けて」

空き巣が多発している。旧型の単純な鍵穴が狙われているようなので、注意を喚起したい。

○「旧型の鍵は、空き巣に入られやすいですよ」
×「旧型の鍵は、空き巣に入られがちですよ」

左ききなので、ふつうのハサミは使いにくい。そこで一言。

○「左利き用のハサミがあれば、やりやすいんだけど」
×「左利き用のハサミがあれば、やりがちなんだけど」

最後のはさすがにわざとらしいが、しかし、端的な意味合いとしてはこういうことである。

つまり、「~やすい」はどのくらい簡単にある状態になるかということで、一方の「~がち」は、ある状態にどのくらいの頻度でなるかを表しているのである。一回と、複数回の違いと考えればよい。

先生が生徒に一言もの申す。

○「きみはサボりやすい」
×「きみはサボりがちだ」

「サボりやすい」ならば初対面に近い状態でも自然な表現だが、「サボりがち」の場合は何度かの指導のすえの一言でなければ不自然であろう。

最近の若者について。

○「最近の若者はキレやすい」
×「最近の若者はキレがちだ」

「キレやすい」ならばまだキレてはいないが、「キレがちだ」になると、普段から何かにつけてキレていて「またキレたか」という感じである。

で、ふりだしに戻る。

○「すべりやすいから気を付けて」
×「すべりがちだから気を付けて」

どうして私が何度も滑ってコケたことがあるって決めつけるわけ? という話。

なんて、偏差値40程度のクソ野郎に指摘されたくもないだろう、し、JRに就職できている時点で、どう考えたってぼくよりも偏差値が高いに決まっている、と思う。しかし、おい、そこの車掌、断じてその日本語は間違っている、ぞ。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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