アルコールの欠乏と渇望、そして欲望。ついでに万能句。

  2015/07/03

まるまる二日も酒を飲まなかったのはいつぶりだろうか。

おそらく一年は軽いのではなかろうか。

とはいえ、昨夜はあまりのアルコール欲求に、弁当を作りながらノンアルコールビールをがぶがぶあおってしまった。うまい!と言えなくもないが、しかし、肝心の酔いはない。当たり前だが。

というわけで9時過ぎ就寝、3時起床。という努力自慢。しかし、すでに酒が飲みたい。今夜はもう、ちょっとくらい飲んだっていいんじゃないかという気がする。気がするけれど、絵の進捗を考えると、飲まないに越したことはない。

まあ、そんなことはどうでもいいので、久しぶりにコラムを引用して適当にウンチクを垂れたい。中日春秋のコラムより、下記転載。

どんなに筋の通らない不出来な台本であっても、ちゃんとした一本の、しかも、それなりの芝居をこしらえる方法がある。劇作家の坂手洋二さんが教えてくれた

▼そのままの台本では芝居にはならない。そのひどい台本を孫が書いて祖父に送ってきた、という設定にする。祖父とその友人が読んで、けなしつつ、実際に演じてみせるという展開にすればどうか。「ひどいねえ」「ああ、ひどい台本だねえ」。そんなせりふが続く。どんな台本でも成立する。元の台本がひどければひどいほど、面白くなるかもしれない

▼もちろん、冗談だが、この話を聞いて思い出すのは「根岸の里のわび住まい」である。有名な「万能句」。この句の頭に季語を含んだどんな五文字を加えてもそれなりの俳句ができるという。例えば「うぐいすや」と加えてみる。不思議とそれらしく聞こえるのである

▼短歌でいえば「それにつけても金の欲しさよ」という下の句。戦国武将で歌にも通じた、細川幽斎の作ということになっている

▼長い歴史のある、「万能句」だが、実際のところ、これをコピー・アンド・ペースト(コピペ・切り貼り)して、俳句や短歌をこさえる人はあるまい。楽しくないし、創作の喜びとは無縁であろう

▼ばれなくても、自分が何をやったかはよく分かっている。苦しむ。ひどい俳句をつくった方が、よほどましなのである。

【中日春秋/2014年3月17日】http://www.chunichi.co.jp/article/column/syunju/CK2014031702000099.html

転載終わり。

恥ずかしながら当方、この記事で万能句というものを初めて知った。それはさておき、この万能句なるもの、非常に興味深い。手前味噌で恐縮だが、いや、ちっとも恐縮などしていないが、さっそく私の文才を駆使して適当な万能句を作ってみることにする。

とりあえず時節柄、春の季語を調べてみた。「遠足、一輪草、アスパラガス、銀杏の花、雨水、梅、瓜坊、蛙、花粉症、黄砂、木の芽、桜、受験」などのようである。が、この退屈さはなんなのだ。ここはもう、季語なんて中途半端なくくりではなく、とにかく5文字を付け加えればそれらしい俳句になる、”完全”万能句を提案したいと思う。

「~いろいろあるよね お疲れさん」

「~へえそうなんだ だから何」

「~なに言ってんのか わかんない」

「~って知ってるよ バカみたい」

単なる嫌な奴、あるいは無気力人間的なものばかりになってしまったが、これこそ万能句というものではなかろうか。試しに下記のいずれか、もしくはご自身で適当に考えていただき、適当に組み合わせてみてほしい。

ex. すごい下痢、雨が降る、騙された、すごいブス、婚活中、祖母危篤、リストラか、人身事故、口くさい、オナラした、など。

どうだ、ほんとうにくだらないだろう。だからコラムにも戒めがあったではないか。

【長い歴史のある、「万能句」だが、実際のところ、これをコピー・アンド・ペースト(コピペ・切り貼り)して、俳句や短歌をこさえる人はあるまい。楽しくないし、創作の喜びとは無縁であろう】

所詮、このブログを日々楽しんでいるような向きは創作の喜びとは無縁なのだ。ふん、下等生物どもめ。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

ご支援のお願い

もし当ブログになんらかの価値を感じていただけましたら、以下のいずれかの方法でご支援いただけますと幸いです。

Amazonギフト券で支援する
→送信先 info@tomonishintaku.com

Amazonほしい物リストで支援する

PayPalで支援する(手数料の関係で300円~)

     

ブログ一覧

  • ブログ「むろん、どこにも行きたくない。」

    2007年より開始。実体験に基づいたノンフィクション的なエッセイを執筆。アクセス数も途切れず年々微増。不定期更新。

  • 英語日記ブログ「Really Diary」

    2019年より開始。もともと英語の勉強のために始めたが、今ではすっかり純粋な日記。呆れるほど普通の内容なので、新宅に興味がない人は読んで一切おもしろくない。

  • 音声ブログ「まだ、死んでない。」

    2020年より開始。ロスのホームレスとのアートプロジェクトでYouTubeに動画をアップしたところ、知人にトークが面白いと言われたことをきっかけにスタート。その後、死ぬまで毎日更新することとし、コンテンツ自体を現代アートとして継続中。

  • 読書記録

    2011年より開始。過去十年以上、幅広いジャンルの書籍を年間100冊以上読んでおり、読書家であることをアピールするために記録している。各記事は、自分のための備忘録程度の薄い内容。WEB関連の読書は合同会社シンタクのブログで記録中。

  関連記事

間違えていた鳥の子紙の裏表

2012/10/31   エッセイ, 日常

尼崎の変死事件との類似性から、北九州監禁殺人事件について触れられているコラムを目 ...

わたくしの人間性回復法

2012/12/01   日常

風邪にかこつけて絵も描かずだらだらとした週末を送っているクソ人間こと新宅睦仁です ...

愛すべき年の差

最近、女子高生と飲む機会があった。 と言ってもその手のお店ではない。売ったり買っ ...

ふわふわどすん

2013/04/12   日常

小説とかドラマとか映画とか、とにかくは架空の物語の登場人物に自らを投影する。 投 ...

溺れない夢

2020/08/15   エッセイ, 日常

夢なんてものは、持たないに越したことはない。 少年よ、大志を抱けなんてクラークは ...

当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載及び複製等の行為はご遠慮ください。

Unauthorized copying and replication of the contents of this site, text and images are strictly prohibited. All Rights Reserved.

Copyright © 2012-2024 Shintaku Tomoni. All Rights Reserved.