震災から一年の日曜日の過ごし方
2017/08/22
去年のその日は金曜日であった。そして今年は日曜日であった。
去年のその日、丁度一年後にこんな過ごし方をしているとは、とても想像がつかなかった。
本当に、未来というのは不透明で、わからない。
良くなったのか、悪くなったのか、それははっきりとはわからない。
ただ、しっかりと一年という時間が流れて、それでしっかり一年分老いて、しっかり一年分死に近づいたことだけは、確かすぎる事実。
それでまあ、ほんの気休めに近くの神社に行ってお参りなんかをしておいた。いわゆる冥福を祈るという行為を、しておいた。心がこもっているのかいないのか、自分でも判然としないのだが、そういう行為をしたことだけは事実で。
昨日はとても天気がよかった。歩いていると眠くなってくるぐらい。眠くなりながら歩いて、歩いていると二車線の道路を隔てて樋口が歩いていて、呼ぶと、おー、一眼レフ買ったんやーと首からさげた一眼レフを見せてきて、そしておれは美術館行くんやーと、答えた。またなー、と言って別れ、岡本太郎美術館に行って、美術館を出たら、空が灰色がかっていた。雨が降りそうだったけれど、降らなかった。
お昼の陽気は消し飛んでいて、すこし縮み込みながら歩いて、歩いているうちに日が暮れていた。
日が昇って、日が沈む。それが365回繰り返されて、一年がたった。ぼくは365回起きて、365回眠って、それで一年が過ぎた。
とかいうことを書くと、ひとり感傷的になってきてしまう。時間の重みというか、つかもうとしてもつかめない、指の間をすり抜け続けてゆく得体の知れない存在である時間。
その時間の中で、為すこと、起きること、原因と結果と、何をどうして、何がどうなって、そして結局のところなんなのか。
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広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。
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