一日は長くもあり短くもある

最終更新: 2015/07/03

週末に近づくにつれ疲労が蓄積してきているので、あまり元気はない。そのため今日は別に書かなくてもいいかと思ったが、まあ書いとくかという感じで書く。というかこの婉曲で冗長な書き出しからして疲れている。

さて、すべての人には平等に一日24時間が与えられている。それをどう使うかはそれぞれの自由である。

何もしなくても時間はすぎるし、いろいろやっても時間はすぎる。ただただ、いっときも止まることも淀むこともなく流れる時間。人間は刻一刻と老いさらばえ、死に溶け込んでゆく。

この世はいわゆる浮世で、なにをやっても、それで一角の人になったとしても、なんの意味も価値もない。そういう考えもおおいにうなづける。言うまでもなく、つまるところ人生は虚しい。

人間について、性悪説と性善説があるが、わたしはもっぱら後者を信じている。人間は基本的に良きものだと思っている。

だから人は、なにかしらいい事がしたい、世のため人のためとまでは言わずとも、少なくとも自分のためには、なにかしら有意義ことをなしたい、あるいは単純に楽しくやりたいという願望があるものだと思う。

とは言え、実際に有意義なことを為すかどうか、その行動力があるかどうかはまた別問題である。

やらなくちゃと思いつつ寝てしまうこともある。こういうふうに過ごそうと思いながら気づけば夕方になっていたりする。今日は飲まないぞと思いながらも飲んでしまう。それは人間としてごく自然なことだろう。

目の前の、即座に満たされる欲望は、とても甘い快楽である。しかし、それよりももっと、本質的に甘い快楽があるのだと、最近思う。

たとえるなら、前者は砂糖の甘さであって、後者はごはんをよく噛み締めた時に感じられる甘さ、のような。

寝たいとか飲みたいとか、そういう浅薄な欲望を抑えて、遠い未来へと積み重ねる努力。それは努力自慢云々以前に、しみじみと甘い快楽なのだと思う。

エピクロスの快楽主義にある通り、「快楽こそが善であり人生の目的だ」というのはまったくその通りで、人によって快楽の対象こそ違えど、人間はみな快楽の奴隷なのだろう。

たぶんエジソンとかなんとかだって、発明については別に努力云々というか、もうとにかくは気持ちがよくて、快楽に突き進んだだけではないか。水泳の北島康介はたまたま「ちょー気持ちいい」と言ったが、ああいう感覚は、どの分野の偉人であれしばしば感じていた感覚なのではないか。

だって人間というのは、本能的に各々勝手に好きなことをする生き物である。子供を見てみればよい。決してやりたくもないことはやってはいないはずだ。それこそ、ちょー気持ちいいことをやっているだけだ。

夢も希望も特にない人が多いと言うが、だれだってちょー気持ちいいことのひとつやふたつはあるものではないか。

思うに、ほんとうは在る、ちょー気持ちいいことを、まあまあ気持ちいいことでごまかしているだけではないか。

そうして、まあまあ気持ちいいことがくせになって、いつしか、ちょー気持ちいいことを忘れてしまう。一度忘れてしまうと、たいていは思い出せなくなる。

たまたま思い出したわたしは幸運である。しかしまたいつ忘れるかもわからない。浮こうが沈もうが人生は恐ろしく淡々と終点に向かう。その終点について思う。死について思う。

人の気持ちをおもんぱかる能力は相当に乏しいわたしだが、死について思いをはせる能力だけは常人の10倍はくだらないと思う。今日死ぬとも、明日死ぬともしれない。

わたしは死ぬ。あなたは死ぬ。みんな死ぬ。

フランスの小説家モーロアは言った。「人生は短い。たとえ、それを長いと思って過ごしている人たちにとっても。」

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新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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