感覚は教えられない

  2017/08/22

おはよう、下等生物の諸君、というフリーザ的なキャラで始まりたい朝。

そう、ぼくのブログはさまざまな時間に書いた文章の合成で構成されていたりするのである。

今朝も四時起き大根桂剥き小ネギ刻み昨日の実習の余りなどで朝食とお弁当とランニングマンで絵マンの制作からの満員電車リーマンパンパンマンでイヤホンからは石野卓球マン。

ところで最近、ゲルハルトリヒターばりに常時プロジェクターで投影をして制作をしているのだが、いかんせん小刻みな隙間時間でコツコツ制作しているために毎回スイッチを入れるたびに投影位置がずれてしまう。

困る。投影像の位置合わせに毎回時間が取られるのはもったいない、って一体だれがこの気持ちに共感してくれるんだろう。

というか、今日もレシピなんだけど、4月に入り学校の教育方針が変わったらしい。ひとことで言うと、「料理は感覚だ!大さじ小さじとかじゃなくて自分で感じろ!」ということらしい。ええ、以前書いた校長の権力権限が発動されただけですね、きっと。

実際まあそれが正しいとは思うんだけど、ぼくとしては「あ〜、おれのブログのことを考えてくれ〜、レシピを一料理愛好家の素人の感覚で書いてちゃ読者離れが加速する〜」という超個人的な心の叫びが中空をさまよう。

師曰く(しっかり校長に指導され了解し切り替わり、もはや校長の意志か遺志かの伝道師レベルの先生)、「世の中のレシピ本は全部うそです。だってアジ三匹とか言ったってさ、大きいのも小さいのもあるでしょう?それをそのまま鵜呑みにしても料理なんかできないよ!」とおっしゃる。

養老孟子ふうに言わせれば、いや単に今養老さんの本を読んでるからその屁理屈っぽい物言いで言わせていただくとですね、それこそそんなもん、"便宜上"に決まってるでしょう。

たとえばどっかの店のランチだって、肉の筋の数や、魚の脂ののり具合、野菜の固い柔らかい、そして大きい小さい多い少ないは必ずあるでしょう。

でもそれらを一律500円とか800円とか1000円とかで提供してるわけで。

見てくれ!どう見たっておれの料理のほうが少ない!だからおれのは800円じゃなくて745円だ!

なんて言ってたらやってらんないでしょう。便宜上です便宜上。大さじ小さじでどれくらいか、とりあえずはそういう"モノサシ"で知りたいんですよ人間ってやつは。

じゃないと、下手すりゃ徴兵や課税だって、「健康そうだから戦争いけ」とか、「金もってそうだからもっと払え」ってことになるでしょう。

感覚なんてのは、結局それぞれの個々の人間の身体を流れる血液みたいなもんで、「血液の正しい流れかたはこうだ!ちがう!もっと激しくドクッドクっと、わかんねえやつだな!」ってなことになってしまわないとも限らない。

結局感覚なんてのは日々吸い込む空気の中でしか生まれない。東京にいれば感覚がとがるかもしれないし、地方にいればやわらかくなるかもしれない。そんなもんだ、って、やたらに反抗してしまった……すいませんすいませんすいません、しかし時すでに遅し。送信。あ、レシピは次回に……ぽちっとな。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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