今日から春にした
2017/08/22
結局、すべて自分が決めるのだと思う。
冬でも夏でも、そんなものは勝手にひとが決めただけで、ほんとうは単に自然が周期的に気温を変化させているだけに過ぎないのであって、つまるところ、自分が決めるということになる。
なのでぼくは今日からを春にした。
昨日は学校が入学式で休みだったので20時に寝て2時30分に起きて朝御飯とお弁当を作って本を読んで自画像を描いてランニングをして作品の制作をしていまは電車に乗っている。
すでにお腹がすいてきていて、吉野屋が270円セールをやっているポスターが出てて、誘惑にかられ、しかし通りすぎる。
閑話休題。
いつもとは違うコースで土手を走った。
その道はアスファルトではなく砂利道で、一歩ごとにザクザクと小気味いい音を立てた。
ギラギラと黒光るカラスが、スズメのようにスタッカートを利かせて砂利道をはねていた。
川辺には年期の入ったホイトの家が立っていて、その主が、そばでなにやら、ぼくにとってはゴミにしか見えないがしかし彼にとってはなにがしかの財産の仕分け作業らしきことをしていた。
そういえば、なぜホイトは決まって川の近くに住み着くのだろうと、思った。もしかすると、自分が死んだ時にすぐに流れていけるようにだろうか、なんて、ガンジス川と重ねてみたりした。
桜が七分くらい咲いていた。
雀よりも一回り大きい鳥が、ぼくの少し先を、ぼくを先導するように、翔んでは歩きを繰り返していた。ぼくはその鳥が翔べないのかと思って、スピードをあげて追いかけた。
鳥は、ふつうに翔んでいった。それはそれはどうしようもなくどうでもいい朝で、しかし、たぶん、いやきっと、いつかこんな朝のことをとてつもなく愛おしく思い出して、身悶え目頭を熱くする、そんな日がくることが、はっきりとわかる。
繰り返して、繰り返して、終わりがくるまで繰り返すばかり。
広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。
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