絵の具、アクリルの。未来、ぼくの。
2017/08/22
部屋の間取りを変え、制作を始めた。のが本日の画像。というか、世界堂に行って絵の具を買い漁ってたら学校に行きたくなくなったので、直帰して絵を描いた。
ひさしぶりすぎる絵の具。なんか、妙になつかしい。
バットに水を用意して、絵の具が乾かないよう絵皿はこまめに霧吹きで湿らせて、そして描いたあとの筆は石鹸で根本から押し出すように2、3回よく洗う、って。
違和感なく、戸惑いなく、自然に行為できる。昔取った杵柄程度には、アクリル絵の具を使ってきたのだなあと思った。
東京に出てきて、途端に絵をやめて小説を書き始め、また絵を描き始め、そして絵を描かなくなって、ふらりと色鉛筆で再開し、そしてまたアクリルに戻ってきた。そんな10年、と書こうとしたが、8年目、だったか、な。
それにしてもほんとびっくりするぐらい東京に詳しくなってない。だってそもそもほとんど出歩いてない、し、興味がない。別に東京に限った話ではないが、どうも外の世界に興味がない。自宅とその周辺で十分、満足してしまう。行ってみたい、見てみたい、とかいうワーキャーな気持ちはいったいにどこからやってくるのだろうか。そこだけは、唯一と言っていいくらい父と異なるところだと思う。ぶらぶらと一人でいろんなとこへ出かけてゆく父のようには、残念ながらなれる気がしない。が、未来の自分の嗜好なんてわからないこともまた確かなことで。
それはともかく、ぐるり一周りしてきたような、遠回りしたなあ、なんて、ひとり無駄な感慨にふける。
まだ、どこにも到達していないのに。何一つ、手に入れてもいないのに。
閑話休題。
昨日の進捗はあまり芳しくなかったのだが、感覚を思い出せたのでまあよしとする。というか、色鉛筆に慣れきっていたのせいで、絵の具の発色の鮮やかさは感動的ですらあった。さっと塗りつけただけで驚きの密度、鮮やかさ。そうか、こんなにも絵の具は絵の具だったのか、と。
話は変わるが、絵の具を収めているキャスター?というか、本来はキッチン用のステンレスの天板がついた電源付のキャスター付の台があるのだが、それを久方ぶりにクローゼットからひっぱり出した。すると中には、未使用の絵の具ふくめいろんな絵の具や溶剤がぎっしり、あるわあるわ。こんなにも絵の具を買っていたのかおれはと、またひとり感慨にふけった。ちなみにこの日世界堂で買い漁った絵の具は計5千いくら、だった。なんだかんだ、芸術は霞を食ってできるはずもなく、金がかかるものなんだよなと、ぼんやり、村上隆を思った。
広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。
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