人間万事塞翁が馬

  2017/08/22

当ブログの愛読者のみなさま、三日間もお休みをいただき誠に申し訳ありません。諸事情ありまして、わたくしは落ち込んでおりましてブログを書くような気分ではなかったのです。といっても、決して色恋沙汰で落ち込んでいたわけではありません。ただ、なんていうか、人生はなかなか大変だよなあと。まあ、そのように思うわけであります。でも制作だけはちゃんとやっております。とりあえず出品予定の作品のパネルだけは全部そろえました、つまり、まだほとんどが真っ白です。焦れ、自分。

さて、暗い話しは置いといて、昨日はゲリラ豪雨で大変でしたなあ。もう、悪い冗談かドラマの撮影かというくらい大粒すぎる雨が何の前触れもなく降ってきて、もう一時はどうなることかと思いましたよ、と言ってもわたしの住まい周辺に被害などはなかった……のですが、近所のスーパーダイエーに行きますと、雨漏りのせいかなんだかわかりませんが、正面の入り口、つまりお客さんの出入りが一番激しい入り口の天井が崩落してました。それが本日の画像。

いや、これも冗談かと思ったのですが、冗談ではありませんでした。完全に事故です。興味本位で店員に「けが人は居なかったんですか?」というと、「ええ、幸い。ご心配をおかけして申し訳ありません」と言われた。

そうですかそれはなによりとか思いながら答えてくれたおばちゃんに無駄に微笑んで立ち去ってはみたものの、大人はもちろん子供もたくさん訪れる楽しいスーパーダイエーで、一歩間違えば大惨事である。

まったく人間万事塞翁が馬だと思う。というかこの話、知ってますか? また勝手に説明しちゃうけどね、昔、中国のある村で、大切にしていた馬が逃げ出してしまった。人々は残念がったが、村の長老は「これが不幸だとも限らない」と言った。数日たって、逃げ出した馬が、別の馬と一緒に、それもかなりの名馬を連れて戻ってきた。村の人々はこんな幸運もあるもんだと喜んだ。しかし長老は「これが幸運とも限らない」と言った。それから、連れてきた馬で乗馬の練習をしていた長老の孫が落馬して、足の骨を折った。村の人々は口々にかわいそうにと言ったが、また長老は「いやいやしかし、これが不幸とも限らない」と言った。それからしばらくして、戦争が起こった。村のほとんどの若者は戦死してしまったのだが、しかし長老の孫は足の骨を折っていたために戦争に行けず、死なずに済んだ。という、誠に人の幸不幸はわからないものということわざである。

ほんのわずかな差、一分とか、一秒とか、そのときの気分、天気、足取り、忘れ物、用意、服装とか、とか、とかと書き連ねるときりがない。究極的にさかのぼれば、生年月日、人類が誕生した時代、地球が誕生してから46億年云々かんぬんと、つまりそこで事故が起こるのは地球誕生の時より定められていた運命だったのですドドドドーン!!とかなったりするし、もう何がどうなってそうなったのか、根本原因を考え出すときりがない。

天井が崩落。けが人なし。以上。

事実を書けばそれだけであるのだが、実は相当に奇跡的なことではないか。

ああ、ああ、しみじみと今日もこうして生きていることに感謝、みつを、ってバカ。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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