料理は見た目が7割

  2017/08/22

健全すぎる日曜日。八時に起床しランニング。汗だらだらのその足でスーパーに行き、そばその他を買ってくる。

昨日からそばが食べたかった。というか、世にはニセそばが多い。そばと銘打って売られている商品の成分表示を見てほしい。そのほとんどは、第一に小麦粉と出ている。この成分表示はご存知の通り成分が多い順に記載されているので、小麦粉が一番に出ているということはそば粉よりも小麦粉のほうが多いのである。

けしからん。そんなものはそばとは言えん!しかもほとんどの店では、特に駅前の立ち食いそば屋など、ほとんどが小麦粉をメインとしたものをそばとして提供しているというではないか!けしからん!そばが食べたい!

というわけで、ぼくは十割そばを買ってきた。しかし確かに高くて200gで248円。二八そば(小麦粉2割、そば粉8割)よりもさらに上をゆく、十割すべて完全にそば粉という、これぞほんもののそばである。そういえば昔、二八そばのCMがあったが、そのころは二八の意味を知らなかったので、単なる商品名だと思っていた。CMの内容は職員室で先生が算数のテストの答案を採点している。2×5=10、2×6=12、2×7=14、2×8=……そばァ!? 山田のやつゥ!という他愛ない、しかし妙に記憶に切り刻まれる名CMであった。

で、朝っぱらから旅館の朝ごはんばりにとろろにおくらにと薬味をもりだくさん小鉢をいっぱい使って用意してみた。こうやって並べた時点ですでにけっこう満足である。実際のカロリーとしては決して高くはない食事だと思うのだが、皿数が多いとそれだけで満足感が増す。糖尿病の治療などでカロリー制限をされている方へと工夫として、よく皿数を増やすというのが出ているが、確かにその通りだと思う。

そう、人は見た目が9割だが、料理は見た目が7割なのである。これは科学的にもそう言われていて、実際、目で見た時点で味の7割は決定しており、味覚や嗅覚は残りの3割でしかないのである。だから料理番組などで食べる前からよく言われる「これは絶対うまいでしょ!」とかいうのは、実は確かにその通りなのである。だってたとえばギャンブルでも、7割の確率で儲かると言われたら、普段ギャンブルに興味が無い人でもついついチャレンジしてしまうような"高確率"に違いないでしょう。

だからして、見た目からしてすでに大いに満足してしまった優雅な朝ごはんであった。まあ、人によっては洗う食器が増えるだけではないかとも言われるかもしれないが、しかし、そんな労力、楽しく食事ができることを考えたら全然たいしたことではない。そう、食事の楽しさ豊かさは皿数に比例する、という持論を展開したい。そのことに気がつけば、貧富を超えて楽しく生きていけるのではないか。逆にいくら富んでいようとも、そこに気がつけなければ、いろんな意味で一生貧しい人生を送ることになる、なるよ?

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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