絵画制作30時間耐久の巻

  2017/08/22

平日の100倍は疲れた土日であった。

が、画像1、2枚目の通り、作品をどうにかこうにか見られる状態(完成度70%くらいで、自分の中ではギリギリ最低ラインのクオリティ)まで持っていき、梱包して送り出すことができた。

どんなことでもそうだけれど、振り返ればあっという間であった。

まず金曜日は学校を休んで世界堂に行き色鉛筆とフィキサチーフを買って帰宅し3、4時間描き12時過ぎに寝て、土曜日は朝5時50分くらいに起きて、7時から制作を始めて、描き、途中スーパーでパンを買ってきて食べ、描き、それからコンビニでパンを買ってきて食べ、描き、そして軽々と日をまたぎ日曜日になり、この時点で18時間弱が経っていたが、絵の進捗状態を考えるととても寝ている場合ではなく、この状態で評価されるなんて悔いしか残らないという危機感から描き続け、朝方になり眠くなってきたが普段の仕事(web関係)を決して本気では頑張ってない万年ヒラ社員がここで頑張らなかったらおまえという人間はいったいどこで本気を出しどこで頑張るんじゃい死ぬ気でやらんかいワレェ死んでもよかろうがボケェしばきあげたるどオンドリャーと自分で自分にカツを入れ、描き、描き、描き、お腹がすいてきてコンビニに行き、だけどパンにはもう飽きたのでお弁当を買おうかと思ったが、ノンキに弁当などを広げている場合で はないと、おにぎりを買ってきて食べながら描き、描き、日は昇り、描き、描き、配送業者がくる14時から梱包時間1時間を差し引き13時まで、12 時ごろには目玉が飛び出し手がもげそうなくらい痛くなりがら、とにかくは描いて描いて描きまくった。途中横になった休憩時間を引いても28時間くらいは脚色なしで描きまくった。というか本当に徹夜らしい徹夜をしたのは生まれて初めてのような気がする。

ので、これはもうとにかくは自分で自分を褒めてあげたいなどといういつもの表現は通りすぎ、もはや何者かが自分に憑依して自分の本体がどこかに行ってしまっていた、というような気さえしている。

そして今は憑き物が取れたような放心状態なのだが、しかし早速今夜からは9月後半あたりのシェルの絵の準備を始めようと、アートだよ!全員集合!をぶっ壊したジャケットサイズのパネルに水張りをして、最適な紙の選定と、描き方の確立をするために2、3枚描き、それから80号(しかし今年からシェルはマックス100号に変更になったようである)の本制作に取りかかろうと思っている次第である。

そういえば、絵を描いているときに何を考えているのかと時々聞かれるのだが、これはたぶん人の想像とはまったくかけ離れている。樋口とも大学時代よりこのことについて話して、だいたいの意見の一致を見ているのだが、画家というか美術家の内実は「基本的にバカ」という一言につきる。でも「なんかいろいろと難しいことを考えていて頭が悪くはなさそう」というところが世間一般の評価だと思う(あくまでもたぶん。だが、むしろ頭がよさそうくらいに思われている気もする)。

そういうわけで、この週末の30時間の間に何を考えていたかというと、ここの色はこうしよう、この辺はまだまだ描き込みが足りない、とかいう絵に関するまともな思考はせいぜい1時間くらいのものである。なのでメインは確実にそれ以外のことで、たとえば(人生って風が吹けばおけ屋が儲かる的なことばっかりだよな。だって、もしも今の会社に入ってなかったとしたらフレックスタイム制度に遭遇することもなかった(入社して半年後くらいに何の前触れもなくフレックスタイム制度が導入された)わけで、だとすると毎日早く退社して学校に行こうなんて思うわけもなくて、そして料理の学校に行かなかったら食べ物の絵を描こうなんて思わなかっただろうし、そもそもまた絵を描こうとも思わなかっただろう気もするし、そんなことを考えると、いまこうやって絵描いてんのも、ひとつひとつの偶然の選択の結果なんだよなあ)とか、(学校の人と数人で飲んだ時のことを思い出し、○○さん(常にモナリザ的な微笑を浮かべやたらとセレブ感を醸し出している美熟女)が、 ちょっとした下ネタの話に及び腰になっていたほかの女子に対して「何言ってんのよ、処女じゃあるまいし」と言い放ったけど、それにしてもとんでもない名言だったなあ)と思い返したり、(そういえば小学校の時の同じクラスにいた、幼少期に生まれつきの心臓病で手術した江草くんとかいう人は、いまごろ何してんのかなあ。そもそも元気で生きてんのかなあ。水泳の時とかに見た、お腹にざっくりとあった大きな手術跡が印象的だったなあ)なんてことを、ほんととめどなく、ぼやぼやぼやぼや、ふわふわふわふわ、電源を切って数十秒後の回転木馬のように、頭が、止まりそうになりながらもゆっくりと回っているだけなのである。

で、3枚目は制作に忙しく(ここだけの話、トイレにパネルを持ち込んでまで制作してましたから)しばらく休んでいた久しぶりの自画像。そこはかとなくやる気もなく適当である。

というわけで、ぼくの甲子園が終わった。結果は10日程度で出る予定ですが、落選だった場合はひとりで陰を落とし酒を浴びることになるでしょうから報告はするかしないかわかりませんのであしからず。

まあ、結果はどうあれもっと良い作品を作れる自信と予感だけは500万%くらいはあるから、今回の経験を生かしてまた頑張ればいいだけの話、さ。なんて、ショックを和らげるクッションを用意しておこう。

しかしまあ、今日からまた真面目に調理学生をしようと思いますが、料理のことなんてすっかり忘れてしまっていることは否定できない事実であるので、みなさま、どうぞあたたかいフォローをよろしくお頼み申す。

新宅 睦仁/シンタクトモニの作家画像

広島→福岡→東京→シンガポール→ロサンゼルス→現在オランダ在住の現代美術家。 美大と調理師専門学校に学んだ経験から食をテーマに作品を制作。無類の居酒屋好き。

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